「神経を取ったのにまた痛む」と、戸惑っていませんか

治療済みのはずの奥歯がまた疼く
神経を取った歯が再び痛むのは、歯そのものが痛みを感じているのではなく、根の先の周囲組織で炎症が起きているサインであることがほとんどです。神経を除去した歯には痛みを伝える組織が残っていません。それでも噛んだときに響く、鈍く疼く、歯茎が腫れるといった変化が現れるのは、根の内部に残った細菌が根の先から外へ広がり、周りの骨や靭帯に炎症を及ぼしているためと考えられます。
「治療は終わったはずなのに、なぜ今頃」と感じる方は少なくありません。実際には、被せ物を入れてから数年単位で静かに状態が変化していたケースが多く、痛みは変化の最終段階で表面化します。
特に奥歯は根の数が多く、形も複雑なため、根の中の一部だけに感染が残ることがあります。噛む力も強くかかる部位のため、違和感が出たときには根の先にレントゲンで確認できる影が生じていることも珍しくありません。
自費の被せ物を勧められた場面
再根管治療の説明とあわせて自費の被せ物を提案されるのは、根の治療の成否が「その後の封じ方」に大きく左右されるからです。せっかく根の中を清掃・消毒しても、その上に載る被せ物のすき間から細菌が入り込めば、同じ経過をたどる可能性があります。歯科医師が補綴(被せ物や詰め物で歯の形を回復する処置)の精度に言及するのは、この再感染の入り口を意識しているためです。
とはいえ、患者さん側からすると「治療の話をしていたはずが、いつの間にか高額な被せ物の話になった」と感じる場面でもあります。仕事の合間に通院を組み立てている方であれば、費用と時間の両方を天秤にかけたくなるのは自然な反応でしょう。
大切なのは、提案が「グレードの高い商品を勧められている」のか「再感染リスクを下げる工程の違いを説明されている」のかを切り分けて聞くことです。この違いは、材料名ではなく製作工程の説明を求めると見えてきます。
差額の理由が見えないまま決めない
費用差に納得できないまま治療方針を決めると、後から「あのとき別の選択肢もあったのでは」という迷いが残りやすくなります。判断の軸になるのは金額そのものではなく、その差額で何が変わるのかという内訳です。使う材料、型取りの方法、仮歯の有無、噛み合わせ調整に費やす時間——差額はこれらの積み重ねとして生じます。
説明を受ける際は、「今回の歯はどの程度歯質が残っているのか」「保険の範囲で対応した場合に想定される弱点は何か」を具体的に尋ねてみてください。歯の状態によっては、費用をかけても予後の見通しが大きくは変わらない場合もあります。
広尾麻布歯科では、再根管治療の相談にあたって歯科用CTを用いた診断を行い、根の状態と残存歯質を確認したうえで治療計画をご説明しています。数字だけを比べるのではなく、その歯に何が必要かという順序で検討すると、判断の材料が整理されます。
やり直しの根管治療で、歯の中に何が起きているか

根の中で細菌が再び増える仕組み
再治療が必要になる歯の内部では、根の中に残った、あるいは新たに入り込んだ細菌が増殖し、根の先の骨に炎症を起こしています。神経を取った歯には痛みを感じる組織がないため、細菌が活動していても長い間サインが出ません。噛んだときの違和感や疼くような痛みは、炎症が根の先の骨まで及んだ段階で現れることが多いのです。
細菌の栄養源になるのは、根の中に残った古い充填材の隙間や、わずかに残った感染した組織です。ここに唾液由来の細菌が加わると、通常の薬剤が届きにくい環境で群れをつくり、抵抗力を持った状態になることが知られています。
「一度神経を取ったから、もう悪くならないはず」と受け止めていた方には意外に映る現象かもしれません。実際には、神経を失った歯は感染の進行を痛みで教えてくれない分、内部の変化が見えにくい状態に置かれています。
一度目の治療で取り切れない部分
根管治療の難しさは、根の内部が肉眼で見通せない複雑な形をしている点にあります。奥歯の根は2〜4本に分かれ、細い枝分かれや強い湾曲、途中でつながる横向きの通路が存在します。器具が直線的にしか入らない部位では、壁面の感染した層が残ることがあります。
加えて、初回治療の時点で虫歯が深く進行していた重度虫歯のケースでは、感染が根の先近くまで及んでいることも珍しくありません。根の先端付近は管が細く枝分かれしているため、薬剤の浸透にも限界があります。こうした解剖学的な条件が、再根管治療が必要になる背景の一つと考えられます。
治療の質だけが原因とは限らない、という点は知っておいていただきたいところです。当院では歯科用CTを用いて根の本数や曲がり方を立体的に確認し、どこに手つかずの領域が残っているかを検討したうえで方針を組み立てています。
再根管治療で実際に行う処置の中身
やり直しの根管治療は、被せ物と土台を外して古い充填材を取り除き、根の中を清掃・消毒し直し、再び密に封鎖するまでを一連の流れとして進めます。初回治療との違いは、まず「取り除く工程」が加わることです。金属の土台が深く入っている場合、これを歯を傷めない範囲で除去する作業に時間を要することがあります。
清掃時には、細い器具と洗浄液を組み合わせて感染した層を減らしていきます。この間、唾液が根の中に入れば処置の意味が薄れてしまうため、当院ではラバーダムによる防湿処置を行い、治療する歯を口腔内の環境から隔離した状態で進めています。
根の先の炎症が落ち着いたことを確認してから最終的な封鎖に移るため、通院回数は初回治療より増える傾向があります。この「封鎖の質」と、その上に載る被せ物の適合が、その後の再感染リスクに直結していきます。
再治療の引き金になる二次う蝕と、被せ物のすき間

被せ物の境目から進む二次う蝕
再根管治療が必要になる原因として臨床上よく見られるのが、被せ物と歯の境目から進む二次う蝕(一度治療した歯に再び生じる虫歯)です。被せ物そのものは虫歯になりませんが、被せ物と自分の歯が接する縁の部分には、目に見えない段差やわずかなすき間が生じることがあります。
この境目は歯ブラシの毛先が当たりにくく、プラークが停滞しやすい場所です。細菌が作る酸で歯質が溶けると、被せ物の内側に向かって虫歯が広がっていきます。外から見える部分は変化が乏しいため、鏡で確認しても気づけないことが少なくありません。
神経を取った歯では、内側で虫歯が広がっても痛みという警告が出ません。境目に沿った黒い線、フロスが同じ場所で毛羽立つ、歯肉がその一点だけ赤い、といった変化が手がかりになる場合があります。
土台(コア)の劣化と細菌の侵入
被せ物の下にある土台(コア)が緩んだり、土台と歯の接着面が劣化したりすると、根の中まで細菌の通り道ができてしまいます。神経を取った歯は、被せ物を支えるために金属やファイバーコアなどで土台を立てるのが一般的です。この土台と歯質の接着が長年の噛む力で少しずつ疲労していきます。
接着面に微細な隙間が生じると、唾液とともに細菌が根の内部へ入り込みます。根管の中は血流がないため、体の免疫が届きにくく、いったん侵入した細菌は根の先で増殖して病巣を作ることがあります。「詰め物が取れて、付け直しただけ」という経過をたどった歯では、この経路が疑われることもあります。
土台が動揺していると、被せ物ごと浮いた感じや、噛んだときの違和感として現れる場合があります。こうしたサインは、根の中の再感染が進んでいる段階を示していることがあります。
自覚症状が出にくいまま進む理由
神経を取った歯で再感染が起きても痛みが出にくいのは、痛みを感じる歯髄(歯の神経)そのものが失われているためです。虫歯が象牙質を溶かしても「しみる」という反応が返ってこないため、被せ物の内部でどこまで進んでいるかを感覚で判断することはできません。
症状として自覚されるのは、細菌が根の先から周囲の骨に到達し、歯根膜(歯と骨をつなぐ組織)に炎症が及んだ段階です。噛むと響く、疲れた日にうずく、歯肉にできものが出るといった訴えは、すでに根の外側で炎症が起きているサインと考えられます。「以前治療したはずなのに」と戸惑う方が多いのは、この時間差が理由です。
そのため、根の内部と骨の状態はレントゲンや歯科用CTによる画像での確認が判断の中心になります。当院では歯科用CTを用いた診断を行い、被せ物の適合や病巣の広がりを立体的に把握したうえで治療方針を組み立てています。
被せ物の適合精度が、再感染のリスクを左右する

適合の良し悪しを決める製作工程
被せ物の適合精度は、歯を削った面の形の整え方、型取りの再現性、模型上での製作精度という3つの工程の積み重ねで決まります。どこか1つが甘いと、歯と被せ物の境目にわずかな段差やすき間が残り、そこが細菌の足場になります。
削った面の縁がなだらかで明確に見えていれば、型取りの材料が細部まで流れ込み、境目の形が正確に写し取れます。歯ぐきから出血していたり、唾液や血液が混じった状態で型を取れば、その分だけ再現性は落ちる傾向があります。
「同じ歯科医師が作るなら同じ精度では」と考える方もいらっしゃいますが、実際には型取り前の歯ぐきの状態管理や、模型上での噛み合わせの調整にかける工程数によって、仕上がりの適合には差が生まれます。この差が数十マイクロメートル単位で積み重なり、境目の封鎖性に影響します。
材料ごとの変形・摩耗と経年変化
装着直後の適合が良くても、材料によって数年単位での変化の仕方は異なります。保険で用いられる金属冠に使われるパラジウム合金などは、噛む力を受けて長期的にわずかにたわむ性質があり、接着材料の劣化と重なると境目の密着が緩む場合があります。
セラミック系の材料は水分を吸わず、表面がなめらかで細菌の付着量が比較的少ないことが知られています。オールセラミッククラウンやメタルセラミックスクラウンは、摩耗による形の変化も起こりにくい傾向にあります。強い衝撃には欠けが生じる可能性があるため、噛み合わせの力の強さによって材料の向き不向きが分かれます。
被せ物の下を支える土台(コア)も同様で、ファイバーコアとメタルコアでは歯根への力の伝わり方が変わります。材料選択は見た目の問題だけでなく、根の中を守る封鎖の持続性に関わる判断です。
精度が長期の予後に効いてくる理由
根管治療のやり直しを何度も繰り返すかどうかは、根の中の処置よりむしろ、その上に被せる補綴の封鎖性で決まる部分が大きいとされています。根の中をどれだけ丁寧に清掃・充填しても、上部から唾液と細菌が入り込む経路が残れば、時間をかけて再感染へ向かいます。
再根管治療のたびに歯質は削られ、歯根は細く弱くなっていきます。1回目の再治療で封鎖の質を高められるかどうかが、その歯を10年後も使えるかを左右するという見方ができます。二次う蝕が境目から広がれば、次は歯を残せる範囲がさらに狭まります。
費用の説明を受けるときは、材料の名前だけでなく「境目の適合をどう確保する工程か」まで聞いてみてください。当院では歯科用CTや拡大視野での精密な治療を通じて、根の状態と被せ物の適合を一連のものとして診ています。
保険と自費で変わるもの、費用差の中身

選べる材料と工程にどう差が出るか
保険と自費の違いは「腕の差」ではなく、使える材料と、そこに費やせる工程の範囲の差だと考えると整理しやすくなります。保険診療は国が定めたルールの中で材料と手順が決まっており、奥歯であれば金属を主体とした被せ物、土台には既製の金属や樹脂系の材料が選ばれることが一般的です。
自費では、オールセラミッククラウンやゴールドクラウン、しなやかさのあるファイバーコアなど、歯質との相性や適合の安定性を優先して材料を選ぶ幅が広がります。金属は歯とは硬さも熱の伝わり方も異なるため、長い年月のうちに境目の環境が変わりやすい性質を持ちます。
再根管治療のやり直しを終えた歯は、健康な歯より歯質が減っています。どの材料を土台と被せ物に選ぶかで、その後の噛む力の受け止め方が変わってくるという見方ができます。
型取り・仮歯・調整にかかる手間の差
費用差のもう一つの正体は、目に見えにくい「工程の密度」です。被せ物の適合は型取りの精度で大きく左右されますが、そのためには歯ぐきの状態を整え、境目をはっきり見える状態にしてから型を採る必要があります。この下準備に時間をかけられるかどうかが、仕上がりの差として現れることがあります。
仮歯も同じです。自費では、噛み合わせや歯ぐきの形を確認しながら仮歯で経過を見て、問題がないことを確かめてから最終的な被せ物に進む流れをとる場合があります。装着後の噛み合わせの微調整に割く時間も含め、こうした一つひとつの手間が費用に反映されます。
「同じ被せ物なのになぜこれだけ違うのか」と感じる方は少なくありません。差額の中身は材料費だけでなく、精度を確かめるための工程数と時間が相当部分を占めている、と理解すると納得しやすくなるはずです。
再治療リスクを含めた総費用の見方
費用を比べるときは、1回あたりの支払額ではなく「その歯を何年使えて、途中で何回やり直すか」という時間軸で見ることをおすすめしています。仮に安価な選択をしても、境目から二次う蝕が生じて再び根の治療に戻れば、その都度の治療費と通院時間が上乗せされます。
再根管治療は、やり直すたびに歯質を削る量が増え、歯の残り方が乏しくなっていきます。金額の比較以上に重い問題は、選択できる治療の幅そのものが狭まっていくことです。保険と自費の違いを費用の一点で判断すると、この部分が見えにくくなります。
管理職として時間の捻出に苦労している方ほど、通院回数の再発生は無視できない負担でしょう。見積もりを受ける際は、想定される耐用年数と、再治療が起きた場合に何が追加で必要になるかまで聞いておくと、数字の意味が具体的になります。
歯科医が再根管治療の可否を見極める判断基準

残っている歯質の量と歯根の状態
再根管治療に進めるかどうかを分ける最初の関門は、被せ物と土台(コア)を外した後に、健全な歯質がどれだけ残っているかです。歯の周囲に一定量の壁が残っていれば、被せ物を安定して支える形を作れます。逆に歯ぐきの下まで歯質が失われていると、封鎖性を保つ形態が確保しにくくなります。
歯根が縦方向に割れている場合は、割れ目に沿って細菌が入り続けるため、根の中をどれだけ清掃しても炎症が収まりにくいという性質があります。この見極めは、外側から見ただけでは難しく、古い被せ物を除去して直接確認して初めて判明することも珍しくありません。
「痛みが出ている歯は、もう残せないのでは」と身構える方もいらっしゃいますが、実際には歯質の残存量と割れの有無という2点で評価が大きく変わります。除去してみるまで結論を保留するという説明は、慎重さの表れという見方ができます。
根の形態と病巣の広がりを画像で確認
再治療の難易度を左右するのは、根管(歯の内部にある神経が通っていた管)の形と、根の先に生じた炎症の広がり方です。奥歯の根管は湾曲や枝分かれを伴うことが多く、平面のレントゲンだけでは重なって見えない部分が生じます。当院では歯科用CTを用いた診断を行い、根の本数や走行、根の先の骨の状態を立体的に把握しています。
前回の治療で詰められた材料が根の先まで届いていないか、あるいは器具の破片が残っていないか。こうした情報は、やり直しにどの程度の手間がかかるかを見積もる材料になります。骨の吸収範囲が広い場合、治癒の判定に時間を要することもあります。
画像で見えた内容を治療前に共有しておくと、費用の説明を受ける際にも「何にお金がかかるのか」が具体的に理解しやすくなります。数字だけを比較する状態から一歩抜け出せる場面と言えるでしょう。
噛み合わせと歯周組織からの評価
根の中の状態が良好でも、噛む力の受け方と歯を支える組織の健康度によっては、再治療の判断が変わります。神経を取った歯はしなやかさが失われており、特定の歯だけに強い力が集中すると、被せ物の適合が保たれていても歯根に負担が蓄積することが知られています。就寝中の歯ぎしりや食いしばりの傾向は、この評価で見逃せない要素です。
歯周ポケットの深さや歯ぐきの炎症も併せて確認します。歯を支える骨が減っている状態では、被せ物をやり直しても土台となる環境が不安定なままになるためです。重度虫歯と歯周病が同じ歯で重なっている場合、順序を整理して進める必要があります。
当院では初診時にレントゲン撮影、口腔内写真、歯周病検査、虫歯検査を行い、その歯だけでなく口全体の力の分布から判断材料を集めています。反対側で噛む癖がついていないかといった日常の使い方も、診察時に確認したい情報のひとつです。
やり直しの精度を高めるために治療中に行うこと

ラバーダム防湿で唾液の侵入を防ぐ
再根管治療の成否を左右する要素のひとつが、治療中に唾液を歯の中へ入れないことです。唾液には常に多数の細菌が含まれており、せっかく根管の内部を清掃・消毒しても、処置中に唾液が流れ込めば再び細菌が持ち込まれてしまいます。ゴム製のシートで治療する歯だけを口の中から隔離するラバーダム防湿は、この経路を物理的に断つための処置です。
当院ではラバーダムを用いた防湿処置を行いながら根管治療を進めています。装着すると口の中に器具が入る感覚があり、「息苦しくないだろうか」と不安を持つ方もいらっしゃいますが、鼻での呼吸は妨げられません。舌や頬が器具に触れにくくなるため、消毒薬が粘膜へ流れるのを抑える働きも期待できます。
歯科用CTと拡大視野で根管を把握
やり直しの治療では、一度目に見落とされていた根管や、根の先に広がった病巣の位置を立体的につかむことが出発点になります。平面のレントゲンは前後に重なった像として写るため、湾曲した根や骨の裏側にある病変が判別しにくい場合があります。当院では歯科用CTを用いた診断を行い、根の本数・分岐・病巣の広がりを三次元的に確認しています。
実際の処置では、拡大視野での精密な治療によって、肉眼では判別が難しい根管の入口や、残った古い充填材の取り残しを確認しながら進めます。再根管治療は「見えないものを手探りで扱う処置」と思われがちですが、画像診断と拡大視野を組み合わせることで、どこまで清掃できたかを歯科医師自身が判断しやすくなるという違いが生まれます。
土台と仮の蓋で治療途中の歯を守る
根の中の消毒が終わるまでの通院期間中も、歯の内部を密閉しておく必要があります。治療の合間に入れる仮の蓋がすり減ったり外れたりすると、そこから唾液と細菌が根管へ入り込み、それまでの清掃効果が損なわれることがあります。硬い物を噛んで仮の蓋が欠けた場合、痛みがなくても早めに歯科医院へ連絡していただくのはこのためです。
根の処置が落ち着いた後は、被せ物を支える土台(コア)を作ります。ここで用いる材料や接着の精度が、その後の被せ物の適合や、歯根への力の伝わり方に影響します。当院ではファイバーコアやメタルコアといった選択肢の中から、残っている歯質の量や噛み合わせの条件を踏まえてご提案し、その根拠を治療前に説明しています。
相談前の準備で、見積もりの説明はここまで具体化する

これまでの治療歴と経過を整理する
相談前に「その歯をいつ、どこで、どう治療したか」をメモにまとめておくと、初回の説明の解像度が一段上がります。神経を取ったのがおよそ何年前か、被せ物を入れ替えた回数、途中で外れたり欠けたりした経験の有無。この3点だけでも、再感染がいつ始まった可能性があるかを推測する材料になります。
痛み方の記録も判断材料です。噛んだときだけ響くのか、何もしなくてもうずくのか、温かいもので強まるのか。歯根の周囲で炎症が起きている場合と、噛み合わせの負担が主因の場合とでは、対処の方向性が変わってきます。
以前の医院で撮影したレントゲン画像や治療内容の記録がお手元にあれば、それも参考になります。過去の資料がなくても診断は可能ですが、経過の情報が加わることで、再根管治療の見通しをより具体的に説明できるようになります。
費用の内訳で確認したい項目
見積もりを見るときは、総額ではなく「何にいくらかかっているか」の区分で確認すると、保険と自費の違いが把握しやすくなります。根管治療そのものの費用、土台(コア)の費用、被せ物の費用は本来別々の項目です。自費の被せ物を勧められた場合でも、根の治療部分が保険なのか自費なのかで、全体の構成は変わってきます。
確認しておきたい項目を挙げると、次のようになります。
- 診断にかかる検査費用と、その内容
- 再根管治療の費用が回数制か一括かの区分
- 土台(コア)に使う材料と、その費用
- 被せ物の材料ごとの価格差の理由
- 治療後の経過確認や調整が費用に含まれるか
「差額に納得できない」と感じる背景には、多くの場合この内訳が見えていないという事情があります。項目ごとに質問すれば、どこに手間と材料費がかかっているのかを言葉で説明してもらえます。
根管治療と補綴を通して診る体制か
再根管治療の結果を左右するのは、根の中の処置と被せ物の適合が同じ方針のもとで設計されているかどうかです。根の治療が丁寧でも、上に乗る補綴のすき間から細菌が入れば、二次う蝕として同じ問題が繰り返されます。逆に被せ物だけ精度を高めても、根の中に感染が残っていれば予後は安定しにくくなります。
相談の場では、根の治療の完了をどう判断するのか、そこから被せ物の型取りまでどのくらいの期間を見込むのかを尋ねてみてください。両者を一続きの計画として説明できるかどうかが、体制を見る一つの手がかりになります。
広尾麻布歯科では、歯科用CTを用いた診断とラバーダムによる防湿処置を含む根管治療から、セラミック治療などの補綴まで一貫して対応しています。同じ歯を長く使うための計画として、どこにどれだけの費用がかかるかを、検査結果と合わせてご説明します。
「やり直せば治りますか」——よくある疑問への回答

再治療は何回くらい通うことになる?
再根管治療の通院回数は、根の中の感染の程度と根管の本数、そして被せ物を作り直す工程を含めるかどうかで変わります。奥歯は根が3本以上あることも多く、前歯や小臼歯に比べて処置に時間を要する傾向があります。一度目の治療で入っていた古い充填材を除去する工程が加わる分、初回の根管治療より回数が増えるのが一般的です。
根の先に病巣がある場合は、内部を清掃したあと症状の落ち着きを確認しながら進めるため、間隔をあけて経過を見る期間が入ります。仕事の合間に通う方にとっては、この「待つ時間」が読みにくく感じられる部分でしょう。
初診時の検査で根管の数や病巣の広がりが把握できれば、おおよその工程と回数の見通しを共有できます。逆に、途中で根の破折や側枝の感染が判明した場合は計画が変わるため、その時点で改めて説明を受ける流れになります。
保険の被せ物では長持ちしない不安
保険の被せ物が短期間で必ず駄目になるわけではなく、実際には噛み合わせの力、清掃状態、装着後の管理によって経過は大きく分かれます。保険と自費の違いは「持ちの保証」ではなく、選べる材料と製作に割ける工程の幅にあります。金属の被せ物でも、適合が良く手入れが行き届いていれば長く機能している例は珍しくありません。
一方で、金属は水分や温度変化のある口の中で歯質との境目にわずかな段差が生じやすく、そこが二次う蝕の入口になることがあります。せっかく再根管治療をやり直しても、被せ物の境目から細菌が入れば同じ経過をたどる可能性が残ります。
「自費にすれば安心」と考えるより、自分の噛む力の強さ、その歯にかかる負担、通院してメインテナンスを続けられるかを踏まえて選ぶほうが現実的です。当院では担当衛生士制度によって装着後の状態を継続的に確認しており、境目の変化を早い段階で拾えるようにしています。
抜歯を勧められた場合に残る選択肢
抜歯が検討されるのは、歯根が縦に割れている場合や、残っている歯質が極端に少なく被せ物を支えられない場合、根の周囲の骨吸収が広範囲に及んでいる場合などです。逆に言えば、これらに該当しなければ再根管治療による保存を検討する余地があります。判断には歯科用CTによる立体的な確認が役立ちます。
やむを得ず抜歯となった場合でも、その後の選択肢は一つではありません。インプラント治療、ブリッジ、入れ歯といった方法があり、隣の歯の状態や骨の量、噛み合わせ全体のバランスによって適した方法は変わります。骨の量が不足しているケースでは、骨を追加する手術を併用したインプラント治療が選択肢となることもあります。
大切なのは、抜歯という言葉を聞いた時点で結論を急がず、なぜその判断に至ったのかを画像とともに説明してもらうことです。同じ画像を見ても、残せる条件が揃っているかの評価は検査の精度で変わってきます。
同じ歯で繰り返す前に、根の中から確かめませんか

この記事で押さえたい判断の軸
根管治療のやり直しを検討するとき、判断の軸になるのは「根の中の感染をどこまで減らせるか」と「その後の被せ物で細菌の再侵入を防げるか」の2点です。どちらか一方だけを整えても、同じ歯で再発を繰り返す流れは変わりにくいと考えられます。
費用の話が先に出ると、材料の名前や金額だけで比較したくなります。実際に予後を左右しているのは、根の中の清掃と密封、そして被せ物の適合という一連の工程です。土台(コア)から被せ物までがひとつながりの防御になっている状態を目指す、という見方をすると、見積もりの数字の意味が変わってきます。
「今回はどこまで治せるのか」「次に問題が起きるとしたらどの部分か」。この2つを担当医と共有できていれば、保険か自費かの選択も、値段ではなく理由で決められるようになります。
重度虫歯と再根管治療に向き合う姿勢
すでに神経を失った歯や、二次う蝕で歯質が大きく減った重度虫歯の再治療では、残せる歯質を一本一本の状況に応じて見極める作業が要になります。同じ「奥歯の再治療」でも、歯根の形、病巣の広がり、噛み合わせの負担のかかり方によって、取るべき手順は変わってきます。
当院では、歯科用CTを用いた診断とラバーダムによる防湿処置を組み合わせながら、感染根管治療に取り組んでいます。拡大視野での精密な処置も併用し、根の中の状態を確認しながら進めていきます。
治療の途中で見えてくる情報もあります。歯を削って初めて分かる歯質の残り方や、根の入り口の形状などです。そうした所見が出た段階で改めて説明し、方針を一緒に確認していく進め方をしています。
費用に迷いを抱えたままの患者さんへ
自費の被せ物を勧められて金額に納得できないまま治療を進めるのは、後々の満足度を下げる要因になります。差額の理由が分からない状態で判断を迫られていると感じたら、まずは精密検査を受け、根の状態と歯質の残り方を数字と画像で確認するところから始める方法があります。
仕事の合間に通院時期を決めかねている方も少なくありません。痛みが出ている歯であれば、いま何が起きていて、どの程度の期間と費用の幅を見込むのかを整理するだけでも、判断の材料は揃っていきます。
広尾駅近くの広尾麻布歯科では、再根管治療と被せ物を通して診る立場から、検査結果に基づいた治療内容と費用の内訳をご説明しています。以前治療した奥歯の違和感が続いている方は、一度ご相談ください。
監修:広尾麻布歯科
所在地〒:東京都渋谷区広尾5-13-6 1階
電話番号☎:03-5422-6868
*監修者
広尾麻布歯科
ドクター 安達 英一
*出身大学
日本大学歯学部
*経歴
・日本大学歯学部付属歯科病院 勤務
・東京都式根島歯科診療所 勤務
・長崎県澤本歯科医院 勤務
・医療法人社団東杏会丸ビル歯科 勤務
・愛育クリニック麻布歯科ユニット 開設
・愛育幼稚園 校医
・愛育養護学校 校医
・青山一丁目麻布歯科 開設
・区立西麻布保育園 園医
*所属
・日本歯科医師会
・東京都歯科医師会
・東京都港区麻布赤坂歯科医師会
・日本歯周病学会
・日本小児歯科学会
・日本歯科審美学会
・日本口腔インプラント学会
