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2025.11.26

糖尿病の方こそ大切にしたい「歯ぐきのケア」|歯周病と全身の健康の関係

目次

歯周病と糖尿病、2つの悩みを抱える方へ


「どちらが原因?」と感じる不安と戸惑い

歯周病と糖尿病は、それぞれが独立した病気のように見えますが、実際には密接に関係しています。糖尿病を持つ方が歯ぐきの腫れや出血を感じることもあれば、歯周病が原因で血糖コントロールが悪化することもあります。そのため、「どちらが原因で、どちらが結果なのか分からない」と不安に感じる方は少なくありません。

糖尿病では高血糖状態が続くことで免疫力が低下し、細菌感染への抵抗力が弱まります。その結果、歯周病菌が繁殖しやすくなり、炎症が悪化します。一方、歯周病による炎症物質(サイトカイン)が血液中に放出されることで、インスリンの働きが阻害され、血糖コントロールがさらに乱れるという悪循環が生じます。

つまり、どちらか一方の治療だけでは根本的な改善が難しく、歯科と内科の両面からアプローチすることが健康維持の鍵となります。


症状が治まらないのはなぜ?悪循環のサイン

「歯磨きを頑張っているのに腫れが引かない」「薬を飲んでも血糖値が安定しない」──このように感じる場合、歯周病と糖尿病の“相互悪化サイクル”が進行している可能性があります。糖尿病によって血管の修復力や免疫応答が低下すると、歯ぐきの炎症が治りにくくなります。

さらに、歯周病菌が出す毒素が炎症を長引かせ、慢性的な腫れや出血を引き起こします。この状態が続くと、体内では炎症性物質(TNF-α・IL-6など)が増加し、インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が高まり、血糖値の上昇につながります。

歯ぐきの出血や腫れ、口臭、歯が浮くような感覚がある場合は、悪循環が始まっているサインです。自覚症状が軽くても歯科で検査を受けることで、全身状態の改善へつながります。


口の中の炎症が全身に及ぶ仕組みを知る重要性

歯周病は「口の中だけの病気」と思われがちですが、実際には全身の健康に大きく影響します。歯周病菌やその代謝物が血流に入り込むことで、全身で炎症反応を引き起こす可能性があります。この慢性炎症は、糖尿病の悪化だけでなく、動脈硬化や心疾患など他の全身疾患のリスクを高める要因となります。

特に糖尿病を抱える方は、もともと血管や免疫に負担がかかっているため、歯周病による炎症の影響を受けやすい状態です。歯ぐきの小さな出血や腫れでも、全身の炎症レベルを高める原因となり得ます。

そのため歯周病治療は、単なる「口腔ケア」ではなく「全身炎症を抑える医療行為」として非常に重要です。早期治療と継続した口腔ケアが、糖尿病の安定にも直結します。

歯周病と糖尿病の基礎知識を整理しよう


歯周病とは?歯ぐきだけでなく全身に影響する慢性炎症

歯周病は、歯と歯ぐきの境目に付着したプラーク(歯垢)内の細菌によって起こる感染性の炎症疾患です。初期段階では歯ぐきが赤く腫れ、出血する「歯肉炎」がみられますが、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶け、歯がぐらついたり抜け落ちたりすることもあります。

近年では、歯周病が「お口の中だけの病気」ではなく、全身の健康に関わる慢性炎症であることが明らかになっています。炎症により産生されるサイトカイン(炎症性物質)が血流を介して全身に広がり、糖尿病や動脈硬化、心疾患などのリスクを高めるとされています。

また、歯周病は自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行してしまうことも多い病気です。特に糖尿病を抱える方は免疫力の低下により歯周病が悪化しやすく、治りにくい傾向があります。そのため、定期的な歯科受診と早期治療が重要です。


糖尿病とは?血糖コントロールが乱れることで起こる代謝疾患

糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)をエネルギーとして細胞に取り込む「インスリン」の作用が不足することで、慢性的に血糖値が高い状態になる病気です。1型糖尿病は自己免疫によってインスリンがほとんど分泌されなくなるタイプで、2型糖尿病は生活習慣や遺伝の影響でインスリンの効きが悪くなるタイプが主です。

高血糖状態が続くと、血管がダメージを受け、神経障害・腎障害・網膜症などの合併症を引き起こすリスクが高まります。また、免疫機能の低下や血流障害によって傷の治りが悪くなり、感染症にもかかりやすくなります。

口腔内においても同様で、歯ぐきへの血流が悪化し、細菌への抵抗力が低下するため、歯周病を発症・悪化させやすくなります。血糖コントロールと口腔ケアを両立することが、全身の健康を守るうえで欠かせません。


「慢性炎症」という共通点が2つの病気をつなぐ

歯周病と糖尿病を結びつけているのは、「慢性炎症」という共通点です。歯周病では、プラーク内の細菌が歯ぐきに炎症を起こし、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6など)が産生されます。これらの物質は血液を介して全身に広がり、インスリンの働きを阻害して血糖コントロールを悪化させます。

一方、糖尿病では高血糖が続くことで血管が傷つき、全身の組織で炎症反応が生じやすくなります。その結果、歯ぐきの免疫反応も過剰になり、歯周病が悪化しやすい環境を作り出します。つまり、どちらの病気も「炎症が炎症を呼ぶ」悪循環の中で相互に影響しているのです。

この悪循環を断ち切るには、歯周病の治療とともに血糖コントロールを整えることが欠かせません。歯科と内科の連携により、口腔と全身の炎症を同時に抑えるアプローチが、双方の改善につながると考えられています。

歯周病と糖尿病の深い関係—互いに悪化させるメカニズム


血糖値が高いと歯ぐきの免疫力が低下する理由

糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、血液中のブドウ糖濃度が上昇し、全身の血管や細胞の働きに悪影響を及ぼします。歯ぐきの血管も例外ではなく、毛細血管の血流が悪化することで、酸素や栄養が十分に行き渡らなくなります。その結果、歯ぐきの防御機能が低下し、細菌感染に対する抵抗力が弱まります。

さらに、高血糖によって白血球の機能が低下し、歯周病菌などの細菌に対する免疫応答が鈍くなります。これにより、歯ぐきの炎症が長引きやすく、治りにくい状態が続くのです。また、血糖が高い状態ではコラーゲン(歯ぐきや歯槽骨を構成するたんぱく質)の合成も妨げられ、歯周組織の修復力が低下します。

このように、糖尿病があると歯ぐきの炎症が悪化・慢性化しやすくなり、歯周病の進行が加速します。つまり、血糖コントロールと歯ぐきの健康は切り離せない関係にあるのです。


歯周病の炎症物質が血糖コントロールを乱す仕組み

歯周病は、口腔内の細菌による炎症が長期間続くことで発症します。この炎症反応の過程で、TNF-α(腫瘍壊死因子)やIL-6(インターロイキン6)といった「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質が血液中に放出されます。これらの物質は、体内でインスリンの働きを妨げる「インスリン抵抗性」を引き起こします。

インスリンは血糖値を正常に保つために欠かせないホルモンですが、その作用が阻害されることで、糖が細胞内に取り込まれにくくなり、血糖値が上昇してしまいます。結果として、歯周病が糖尿病のコントロールをさらに悪化させるという悪循環が生じるのです。

このメカニズムは、歯周病が単なる「口の中の病気」ではなく、全身の代謝バランスに関わる全身性疾患であることを示しています。歯周病を治療することは、血糖コントロールを安定させるうえでも重要な意味を持ちます。


炎症が「全身疾患」へと波及するサイクル

歯周病による炎症は、口の中だけでなく全身に広がる可能性があります。歯ぐきの血管は非常に豊富で、炎症が起こると歯周病菌やその毒素(エンドトキシン)が血流に入り込み、全身の血管に慢性的な炎症反応を引き起こすことがあります。

この慢性炎症は、糖尿病のほかにも動脈硬化や心疾患、脳血管障害などのリスクを高める要因として知られています。炎症性サイトカインが増加することで血管内皮が傷つき、動脈の硬化や血流障害を引き起こすためです。

つまり、歯周病の炎症が持続すると、全身で「炎症のドミノ倒し」のように悪影響が連鎖します。歯科での歯周病治療は、単に歯を守るためだけでなく、全身の健康を維持するための重要な一手といえます。歯ぐきの小さな腫れや出血も、全身へのサインと捉え、早期のケアを行うことが望まれます。

歯科治療が血糖コントロールを改善に導くことも


歯周病治療によって血糖値が安定する可能性

歯周病の治療によって血糖コントロールが改善する可能性が、国内外の研究で報告されています。特に中等度以上の歯周病を治療した患者で、治療後にHbA1cが0.4〜0.6%低下したという報告もあります。薬剤の追加に匹敵する効果が見られるケースもあるとされ、歯ぐきの炎症を抑えることは血糖の安定にも良い影響を与える可能性があります。

歯周病治療は歯石除去や歯周ポケットの清掃など、比較的身体への負担が少ない処置であり、全身への安全性も高いとされています。糖尿病の管理が難しい方こそ、歯周治療を生活習慣改善の一環として取り入れることが、血糖コントロール向上への第一歩となります。


炎症を抑えることでインスリン抵抗性を軽減

歯周病は「慢性炎症性疾患」に分類されます。炎症が続くと体内で炎症性サイトカインが増え、インスリンが正常に作用しにくくなる「インスリン抵抗性」が生じます。この状態では、体が血糖を細胞内に取り込みにくくなり、血糖値が上昇しやすくなります。

歯周病治療によって炎症を抑えると、このサイトカインの分泌が減少し、インスリンの効きが改善する可能性があります。つまり、口腔内の炎症を取り除くことは、全身の代謝を整えることにもつながるのです。

また、慢性的な炎症が抑えられることで、血管内皮の機能も回復し、全身の血流が良好になります。これにより、糖尿病の合併症リスク(動脈硬化・心疾患など)も軽減されると考えられています。歯科での炎症コントロールは、単なる「口腔ケア」ではなく、「全身の炎症ケア」として重要な役割を担っています。


医科と歯科の連携がもたらす健康への相乗効果

糖尿病と歯周病は、相互に影響し合う「双方向性の関係」にあります。そのため、歯科単独ではなく、医科との連携が非常に重要です。内科医が血糖コントロールを行いながら、歯科で炎症を抑えることで、双方の治療効果が高まり、健康維持の相乗効果が期待できます。

具体的には、歯科では歯周病治療や口腔衛生指導を、内科では血糖値の管理や薬の調整を行い、患者ごとに最適な治療計画を立てます。また、歯科医師が血糖値や服薬内容を把握しておくことで、治療中の低血糖や出血リスクにも的確に対応できます。

さらに、医科歯科連携により、患者自身の健康意識が高まり、食事・生活習慣・セルフケアの改善にもつながります。歯周病治療と糖尿病管理を並行して行うことは、全身の炎症を抑え、生活の質(QOL)を向上させる効果的なアプローチの一つといえます。

糖尿病患者さんが安全に歯科治療を受けるために


治療前に確認すべき血糖値とHbA1cの目安

糖尿病の方が歯科治療を受ける際は、まず「血糖コントロールの状態」を正確に把握することが重要です。治療時に高血糖や低血糖のリスクがあると、治療後の感染や治癒遅延が起こりやすくなるためです。一般的には、空腹時血糖値が130mg/dL未満、HbA1c(過去1〜2か月の平均血糖値を示す指標)が7.0%以下であれば、多くの歯科処置を安全に行えるとされています。

ただし、これらはあくまで目安であり、症状の重症度や合併症の有無によって判断は変わります。HbA1cが8%を超える場合や、最近血糖コントロールが不安定な方は、まず主治医と相談し、治療のタイミングや内容を調整する必要があります。
また、感染や抜歯などの外科処置を行う場合は、抗菌薬の使用や血糖変動への配慮が必要です。治療前の問診で「糖尿病の有無」や「服用中の薬」「インスリン使用の有無」を正確に伝えることで、安全で負担の少ない治療が可能になります。


低血糖を防ぐための受診タイミングと注意点

糖尿病患者さんが歯科治療を受ける際に注意すべきもう一つのポイントは「低血糖リスク」です。特にインスリンや経口血糖降下薬を使用している方は、治療中に食事の間隔が空いたり、緊張や痛みでストレスホルモンが変動したりすると、低血糖を起こすことがあります。

そのため、治療のタイミングは「食後1〜2時間以内」が望ましいとされています。食事を抜いて来院するのは避け、普段通りの食事・服薬を行ったうえで受診しましょう。治療が長時間に及ぶ場合や麻酔を使用する際は、血糖変動が起きやすいため、途中での休憩や糖分補給ができるよう準備をしておくと安心です。

また、低血糖の初期症状(冷や汗、手の震え、動悸など)に気づいたら、速やかに歯科医師やスタッフに伝えましょう。治療中でもブドウ糖やジュースを摂取することで、重症化を防ぐことができます。歯科医院側も、患者さんの血糖コントロール状態を理解しておくことで、安全な対応が可能になります。


歯科と主治医の情報共有が欠かせない理由

糖尿病を持つ方の歯科治療では、歯科医師と内科の主治医との「連携」がとても重要です。これは、血糖コントロールの状況や服薬内容、インスリンの種類、合併症の有無によって、治療中のリスクや対応方法が大きく異なるためです。

例えば、抜歯やインプラントなど外科的処置を行う場合は、感染予防のために抗菌薬を使用することがありますが、腎機能や肝機能に問題があると薬の選択肢が制限されることもあります。また、血糖値が高い状態での手術は治癒が遅れ、感染のリスクが上昇します。こうした情報を主治医から共有してもらうことで、歯科側は治療計画を安全に立てることができます。

また、主治医に歯科治療の予定を伝えることで、薬の調整や治療日のスケジュールを事前に整えることも可能です。医科と歯科が連携して患者さんの全身状態を把握し合うことで、より安全で質の高い治療を提供できる環境が整います。

毎日のセルフケアでできる炎症予防


正しいブラッシングと歯間清掃の習慣づくり

歯周病や糖尿病の悪化を防ぐうえで、日々のセルフケアは最も基本であり、同時に最も重要な取り組みです。特に歯周病は、歯と歯ぐきの境目に付着する「プラーク(細菌のかたまり)」が原因で炎症を起こします。そのため、歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを併用して、歯と歯の間や歯ぐきの溝を丁寧に清掃することが欠かせません。

ブラッシングの際は、力を入れすぎず「細かく小刻みに」動かすことがポイントです。強い力で磨くと歯ぐきを傷つけ、かえって炎症を悪化させることがあります。また、歯間ブラシはサイズ選びが重要で、大きすぎると歯ぐきを傷つける原因に、小さすぎると汚れが取りきれません。

歯科医院では、患者さんの口腔状態に合わせたブラッシング方法や歯間清掃具の選び方を指導しています。自己流になりがちなセルフケアを見直すことで、歯周病の炎症予防だけでなく、糖尿病の安定にもつながります。


食生活・睡眠・ストレス管理が歯ぐきに与える影響

歯周病や糖尿病は「生活習慣病」という共通点を持っています。そのため、毎日の食事や睡眠、ストレスの管理が、歯ぐきの健康維持に直結します。

まず、糖分の摂りすぎは血糖値を上昇させ、歯周病菌が好む環境を作り出します。精製された砂糖を多く含む食品を控え、野菜・魚・発酵食品など抗炎症作用のある食材を意識的に取り入れましょう。

睡眠不足は免疫力を低下させ、歯ぐきの修復力を妨げます。また、慢性的なストレスもホルモンバランスを乱し、炎症を悪化させる要因となります。リラックスできる時間を設け、規則正しい生活リズムを整えることが大切です。

食生活と生活習慣の見直しは、歯ぐきだけでなく全身の炎症リスクを減らす基本的な「予防医療」です。日々の小さな積み重ねが、長期的な健康維持に大きく影響します。


定期検診で早期発見・早期対応を心がける

セルフケアを徹底していても、歯周病や糖尿病による口腔内の炎症を完全に防ぐことは難しい場合があります。特に歯周病は「静かな病気」と呼ばれ、痛みなどの自覚症状が出にくいため、進行に気づかないまま悪化してしまうことがあります。

そのため、3〜6か月に一度の定期検診が推奨されます。歯科医院では、歯周ポケットの深さや出血の有無をチェックし、歯石の除去やバイオフィルムのクリーニングを行います。これにより、炎症の早期発見と進行抑制が可能になります。

また、糖尿病のある方は、血糖コントロールの状態に応じて、より短い間隔での管理が有効です。医科と連携しながら歯科で定期的にケアを受けることで、全身の炎症リスクを軽減し、健康寿命を延ばすことにもつながります。

「異常がないときこそ、検診を受ける」——それが、歯ぐきの炎症予防における最も効果的な習慣です。

歯科医院で受けられるサポートとケア内容


プロフェッショナルクリーニングで細菌をリセット

歯周病の原因となる細菌は、歯の表面だけでなく歯周ポケットの奥深くにも潜んでいます。家庭でのブラッシングだけでは、こうした細菌を完全に取り除くことは難しいため、歯科医院で行う「プロフェッショナルクリーニング(PMTC)」が重要になります。

PMTCでは、専用の機器と研磨剤を使用し、歯石やバイオフィルム(細菌の膜)を徹底的に除去します。これにより、歯ぐきの炎症を引き起こす原因がリセットされ、再発防止にもつながります。また、クリーニング後の歯面は汚れが付きにくくなるため、日常のブラッシング効果も高まります。

特に糖尿病をお持ちの方は、免疫力が低下し炎症が長引きやすいため、定期的なプロケアで口腔内を清潔に保つことが、血糖コントロールの安定にも寄与します。自宅ケアと専門的ケアの両輪で、口腔と全身の健康を守ることが大切です。


歯周ポケット検査で炎症の進行度をチェック

歯周病は自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行する病気です。その進行度を正確に把握するために行うのが「歯周ポケット検査」です。歯科医師または歯科衛生士が専用のプローブという器具を用いて、歯と歯ぐきの隙間の深さ(歯周ポケットの深さ)を測定します。

健康な歯ぐきでは1〜3mm程度ですが、4mm以上になると炎症が進行している可能性があります。さらに、出血や排膿が見られる場合は、歯周組織の破壊が進み、歯の動揺や骨吸収のリスクが高まります。

検査結果は数値化され、治療計画の基礎データとなります。定期的に測定することで、炎症の変化を客観的に把握でき、早期発見・早期対応が可能です。特に糖尿病を抱える方は、歯周病の進行スピードが速い傾向にあるため、年数回の検査を受けて口腔の状態を継続的にチェックすることが推奨されます。


全身疾患を考慮した治療計画とメンテナンス

歯周病治療を行う際には、口腔だけでなく「全身の健康状態」を踏まえた計画が欠かせません。糖尿病や心疾患、高血圧などを抱える方では、治療の進め方や使用する薬剤、麻酔の量にも慎重な判断が求められます。

歯科では、治療前に既往歴や服薬内容を詳細に確認し、主治医と情報を共有することで、安全かつ効果的な治療を行います。血糖コントロールが安定していない場合には、炎症や出血が起こりやすく、治癒にも時間がかかるため、まずは全身の状態を整えることを優先します。

治療後は、定期的なメンテナンスが重要です。歯周病の再発を防ぐために、専門的な清掃・再評価・生活習慣指導を継続的に行い、口腔と全身の健康を長期的に維持します。歯科医師と内科医の連携により、歯周病と糖尿病の双方をコントロールすることが、健康寿命を延ばすカギとなります。

よくある質問(FAQ)で不安を解消


糖尿病があると麻酔や薬は使えない?

糖尿病があるからといって、歯科での麻酔や薬の使用ができないわけではありません。ただし、使用にあたっては「血糖コントロールの状態」と「併用薬の内容」を歯科医師が十分に把握することが重要です。局所麻酔は通常の歯科治療で広く用いられますが、血糖値が極端に高い場合は体への負担が増す可能性があるため、治療時期の調整が必要となることもあります。

また、糖尿病患者さんは感染に対して抵抗力が下がる傾向があるため、必要に応じて抗菌薬を併用し、炎症の拡大を防ぐことがあります。薬の選択も、腎機能や肝機能の状態に応じて適切なものを選ぶ必要があります。歯科医師に糖尿病の治療歴や服薬内容(経口血糖降下薬・インスリンなど)を正確に伝えることで、安全で効果的な治療が可能になります。


出血が多いけど治療しても大丈夫?

糖尿病の方では、毛細血管がもろくなったり、炎症反応が強く出やすくなったりするため、歯ぐきからの出血が起こりやすい傾向にあります。しかし、出血があるからといって治療ができないわけではありません。むしろ、歯周病による炎症を放置すると出血はさらに悪化し、全身の血糖コントロールにも悪影響を及ぼします。

歯科では、治療前に出血リスクを評価し、必要に応じて止血処置を行いながら安全に治療を進めます。出血が続く背景には、歯周ポケットの炎症や血糖値の上昇が関与している場合もあるため、根本原因の改善が欠かせません。自己判断で受診を控えず、歯科医師に症状を伝えたうえで、適切なケアを受けることが早期回復につながります。


インスリン治療中でも歯科受診は可能?

インスリン治療を受けている方でも、歯科診療は問題なく受けられます。ただし、低血糖を防ぐための準備と時間配分が大切です。たとえば、インスリン注射の直後に長時間の治療を行うと、血糖が下がりすぎる可能性があります。そのため、治療は「食後1〜2時間以内」に設定するのが理想です。

また、受診時には使用しているインスリンの種類や投与時間を歯科医師に伝えましょう。これにより、治療内容や麻酔の計画、治療時間の調整が行いやすくなります。長時間の処置や抜歯などを予定している場合は、主治医と連携して血糖コントロールを確認し、必要に応じて治療スケジュールを調整します。

インスリン治療中でも、適切な準備と連携を行えば安全に歯科治療を受けることができ、全身の健康維持にもつながります。

歯科と内科、両方の視点で健康を守るために


医科歯科連携の重要性と具体的な連携方法

糖尿病と歯周病は互いに影響を及ぼす「双方向性疾患」といわれています。そのため、片方だけを治療しても十分な改善が得られないことが多く、医科と歯科が連携して全身管理を行うことが重要です。

医科歯科連携では、患者さんの血糖コントロールの状態や服薬情報を共有し、歯科治療の安全性を高めます。たとえば、血糖値が高い場合は抜歯や外科的処置を延期することもありますし、炎症が強いときは医師と相談して抗菌薬や投薬内容を調整することもあります。

一方、歯科側からは、歯周病の進行状況や口腔内炎症の程度を内科へ報告することで、全身の炎症負荷を把握しやすくなります。双方の情報をもとに、患者さんにとって最適なタイミング・方法で治療を進めることができます。医科歯科連携は、単なる情報共有ではなく、「全身を一つの健康体として診る」医療体制の基盤です。


健康管理ノートやアプリを活用した情報共有

医科と歯科の連携を円滑にするには、患者さん自身が積極的に情報を共有することも欠かせません。最近では、血糖値・HbA1cの推移や服薬記録をスマートフォンの健康管理アプリで管理する方が増えています。これらのデータを歯科受診時に提示すれば、治療の安全性を高めるだけでなく、より的確なケア計画の立案につながります。

また、紙の「健康管理ノート」も有効です。日々の血糖値・食事・運動内容に加え、歯ぐきの腫れや出血、口臭など口腔内の変化を簡単に記録しておくことで、医師と歯科医師の双方が一貫した視点で健康状態を把握できます。

こうした記録は、診療のたびに一から説明する手間を省くだけでなく、自身の健康意識を高める効果もあります。医療者任せにせず、自分の身体の状態を「見える化」して共有することが、全身疾患予防の第一歩です。


「かかりつけ医」と「かかりつけ歯科医」を持つことの意義

糖尿病や歯周病のような慢性疾患では、症状が落ち着いた後も再発予防と継続的な管理が欠かせません。そのためには、定期的に自分の健康状態を把握してくれる「かかりつけ医」と「かかりつけ歯科医」を持つことが非常に重要です。

かかりつけ医は、血糖コントロールや服薬、全身の疾患管理を継続的にフォローします。一方、かかりつけ歯科医は、歯ぐきの状態や口腔内の炎症サインを定期的にチェックし、早期発見・早期治療をサポートします。

両者が連携することで、たとえば血糖値の急な変動が歯周病の悪化と関係している場合など、全身の健康変化をいち早く捉えることができます。「体の健康」と「お口の健康」は切り離せない関係にあります。信頼できる医療チームを持つことで、安心して長期的な健康管理を続けることができるでしょう。

未来の自分のために、今できる一歩を


炎症を抑えることが全身の健康につながる

歯周病による炎症は、口の中だけの問題にとどまりません。歯ぐきの炎症によって生じたサイトカインなどの炎症性物質は血流を介して全身を巡り、糖尿病や動脈硬化などの全身疾患の悪化に関与すると考えられています。つまり、「歯ぐきの腫れ」や「出血」を放置することは、全身の慢性炎症を助長するリスクでもあります。

歯周病の早期治療や定期的なメンテナンスで炎症を抑えることは、血糖コントロールの改善にも寄与することが報告されています。生活習慣病の予防や再発防止の一環として、口腔ケアを見直すことは非常に効果的です。小さなケアの積み重ねが、将来的な健康リスクを減らし、より健やかな生活を支える基礎となります。


定期的な歯科受診が生活の質(QOL)を高める

歯周病や糖尿病は慢性的に進行する病気であり、症状が出た時にはすでにかなり進行しているケースも少なくありません。そこで重要なのが、定期的な歯科受診による予防的ケアです。歯科では歯ぐきの状態やプラークの付着状況をチェックし、プロフェッショナルクリーニングやブラッシング指導を行います。

こうした継続的な管理によって、歯周病の再発や炎症の慢性化を防ぐことができます。さらに、口腔内の健康を保つことで「しっかり噛める」「食事が楽しい」といった生活の質(QOL)の向上にもつながります。全身疾患の管理には、食事・睡眠・運動のバランスが欠かせませんが、その入り口となる「口の健康」を守ることこそ、健康寿命を延ばす第一歩です。


小さな改善の積み重ねが、糖尿病との共生を支える

糖尿病と歯周病は切り離して考えることができませんが、どちらも「毎日の小さな積み重ね」でコントロールが可能です。食後の丁寧なブラッシングや歯間清掃、バランスのとれた食事、十分な睡眠、ストレスの軽減――これらの行動が、血糖値の安定や炎症の抑制に直結します。

また、歯科医院での定期的なメンテナンスを継続することで、炎症の早期発見・早期対応が可能となり、全身の状態を安定させやすくなります。

糖尿病との共生において大切なのは、「完璧を目指すこと」ではなく、「継続できる習慣を持つこと」です。お口の健康を整えることは、全身のバランスを整える行動そのもの。今日の小さな一歩が、未来の自分の健康を守る確かな力になります。

監修:広尾麻布歯科
所在地〒:東京都渋谷区広尾5-13-6 1階
電話番号☎:03-5422-6868

*監修者
広尾麻布歯科
ドクター 安達 英一
*出身大学
日本大学歯学部
*経歴
日本大学歯学部付属歯科病院 勤務
東京都式根島歯科診療所 勤務
長崎県澤本歯科医院 勤務
医療法人社団東杏会丸ビル歯科 勤務

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