虫歯の痛みが急に消えたら要注意!神経が死んでいる可能性と治療法 - 広尾麻布歯科
診療メニュー 噛む力の改善

受付時間

平日

9:30〜19:30

土曜・祝日

9:30〜18:00

pc

24時間
WEB予約

pc

24時間WEB予約

pc

お電話

アクセス

診療時間アクセス

       

コラム

Column

2025.09.26

虫歯の痛みが急に消えたら要注意!神経が死んでいる可能性と治療法

目次

虫歯の痛みが消えたのは、治ったサインではありません

・痛みが消えても治ったわけではない理由

痛んでいた虫歯の痛みがふと消えると、まるで治ったかのように感じて安堵されるかもしれません。痛みが消えても治ったわけではなく、神経が弱っている・死んでいる可能性があります。虫歯菌が歯の内部深くまで侵食し、痛みを感じる役割を担っていた歯の神経(歯髄)が壊死した状態が考えられます。神経が壊死すると痛みは感じにくくなり、一時的に「治ったように見える」ことがあります。

この状態で放置してしまうと、失活した歯の内部で細菌が増え、根の先に炎症(根尖性歯周炎)が起き、腫れや痛み、場合によっては抜歯が必要となることもあります。

・あれ、あれほど痛かった虫歯の痛みは、なぜ消えたの?

「ズキズキ」「ジンジン」と我慢することが多かった虫歯の痛みが、なぜ突然消えてしまうのでしょうか。そのメカニズムは、虫歯の進行段階と深い関係があります。歯質まで達すると、冷たい物や甘い物で「しみる」症状が出やすくなります(C2)。さらに進んで歯の神経(歯髄)まで達すると、神経が炎症を起こす(歯髄炎)ため、何もなくても激しい痛みを感じるようになります(C3)。いわば神経からのSOSサインです。

しかし、この状態が続くと、限られた歯の内部の炎症で内圧が上がり血流が障害される状態が続くと、神経が壊死に至ることがあります。神経が死んでしまうと、痛みを感じる機能が失われるため、あれほど激しかった痛みが嘘のように消えてしまうのです。

腫れや痛みが消えたのは、虫歯が治ったわけではなく、歯の神経がその生命活動を終えてしまった結果に他なりません。

・それは「治った」のではなく、神経からの「最後の警告」

虫歯の痛みが消えた状態を「治った」と自己判断してしまうことは、歯の寿命を縮める大きなリスクを伴います。神経が死んで痛みが消えた歯の内部では、細菌の活動が止まるわけではなく、内部は細菌が増殖しやすい環境となり、静かに感染が拡大していきます。細菌やその毒素は、歯の根の先端にある小さな穴から顎の骨へと漏れ出し、根尖性歯周炎へ進展することがあります。

また、歯ぐきに膿の出口(サイナストラクト=フィステル)ができることもあります。痛みが消えた状態は、歯の神経が発する「最後の警告」。この警告を無視してしまうと、治療はより複雑になり、抜歯の可能性も考えられます。

虫歯の進行段階と痛みのメカニズム

・C1からC4へ。あなたの虫歯はどの段階ですか?

虫歯は、その進行度によってC0からC4までの段階に分類されます。Cはcaries(カリエス)の頭文字です。まず「C0」は、歯の表面のエナメル質が溶け始めた初期段階で、痛みなどの自覚症状はありません。適切なケア(フッ化物応用等)により再石灰化(自然修復)が期待できます。

「C1」ではエナメル質に小さな穴が開き始めますが、まだ痛むことはまれです。C2は冷たい物や甘い物がしみやすくなります。C3は歯髄炎で自発痛が出やすく、C4(歯が大きく損なわれ歯髄が壊死した段階)では、痛みを感じないこともありますが、根の先の炎症で「噛むと痛い」などの症状が出る場合があります。放置すると歯根の先(根尖部)周囲で膿がたまり、最終的には抜歯に進む可能性が非常に高くなります。
ご自身の症状がどの段階に近いのか、早期に対応することが重要です。

・虫歯の痛みの正体は「歯髄(神経)」の炎症

虫歯に特有の激しい痛みの正体は、歯の中心部にある「歯髄(しずい)」という組織が炎症を起こす、すなわち「歯髄炎(しずいえん)」です。歯髄は一般的に「歯の神経」と呼ばれますが、実際には神経線維だけでなく血管も豊富に含んでおり、歯に栄養を供給し、その生命を維持する重要な役割を担っています。
むし歯が歯質まで進行すると、象牙質の細い管(象牙細管:歯の中の細い通路)を通じて刺激が伝わり、炎症の初期段階が進みます。細菌が直接歯髄を侵すと、身体は細菌を排除しようとして防御反応を起こし、血管が拡張して血液成分が集まることで、本格的な炎症へと発展します。
問題は、歯髄がエナメル質や象牙質といった硬い組織に完全に囲まれている点です。皮膚であれば炎症で腫れても外側に膨張できますが、歯の内部では逃げ場がないため、内圧が急激に上昇します。

・痛みの強弱でわかる、虫歯の危険度チェック

虫歯の痛みの種類や強さは、進行度を推測する重要な目安になります。ご自身の症状と照らし合わせて、受診の目安としてください。

温かいものがしみる、何もしなくてもズキズキ痛む:神経まで虫歯が達しているC3のサインです。神経の炎症がかなり進んでおり、特に夜間に痛みが強くなる傾向があります。夜間に強い自発痛や温熱痛が続く場合は早めの受診をおすすめします。

噛むと痛い、歯ぐきが腫れている:神経が死んで、根に膿がたまっている(または将来的にたまり得る)C4に近い状態が疑われます。一度消えた痛みが、形を変えて再発しているケースです。

前は痛かったが、今は痛みが消えた:神経壊死が疑われますが、一時的な炎症の鎮静化や咬合の影響、鎮痛薬など他の要因で痛みが軽くなる場合もあるため、早めの診査・診断が重要です。
 これらのチェックは暫定的な目安です。

なぜ虫歯の痛みは「消える」のか?

・痛みが消える理由:歯の神経(歯髄)が死んでしまった可能性

あれほど悩まされていた虫歯の痛みが突然消えると、一瞬ほっとするかもしれません。でも、これは一時的に虫歯が自然に治ったわけではありません。歯髄壊死の可能性もあります。ただし他の原因も考えられるため、早めの診査・診断が大切です。虫歯菌感染が神経まで達すると、歯の内部では激しい炎症(歯髄炎)が起こります。
その結果、神経への血流が完全に途絶え、栄養や酸素がなくなり、神経組織は壊死します。感覚を伝える神経が機能を失うため、痛みという信号が脳に伝わらなくなり、症状が「消えた」かのように感じられます。

・「歯髄壊死(しずいえし)」って何?

「歯髄壊死(しずいえし)」とは、歯の神経や血管が集まった組織である歯髄が、その生命活動を完全に停止し、死んだ状態を指す医学用語です。虫歯菌が歯髄に及んで激しい炎症(歯髄炎)を放置すると、歯髄への血流が断たれ、壊死します。徐々に壊死に至ることもあります。さらに、壊死した歯髄組織が変性することで、歯が内側から徐々に黒ずんで見えるようになることも特徴です。

・神経が死んだ歯を放置すると、次に起こること

神経が死んで痛みが消えた虫歯を放置すると、口の中の見えない部分で、より深刻な問題が静かに進みます。死んで腐敗した神経は、細菌にとって格好の栄養源となり、歯の内部で大量に繁殖します。歯の根の先端にある小さな穴から顎の骨まで感染が広がり、根尖性歯周炎に進展することがあります。
この状態になると、普段は無症状でも、噛んだときに違和感や痛みを感じたり、体調が悪いときに歯ぐきが腫れたり、歯ぐきに膿の出口(サイナストラクト)ができることもあります。
さらに、栄養供給を絶たれた歯は非常にもろくなっているため、食事中などに突然「パキッ」と割れてしまう(歯根破折)リスクもあります。割れ方によっては、歯を残すことができず抜歯になる可能性もあります。

歯の神経が死んでしまった場合に起こりうる症状

・歯ぐきの腫れや、膿の袋(根尖病巣)ができる

虫歯によって歯の神経が死んでしまうと、痛みという警告サインは消えてしまいますが、感染の原因が去ったわけではありません。すると、細菌を排除しようとする体の免疫反応とのせめぎ合いが続き、その結果として膿がたまった袋状の病変、つまり「根尖病巣(こんせんびょうそう)」が形成されます。レントゲンを撮影しないと発見できないことがほとんどです。

普段は症状がなくても、体調の悪化などで体の抵抗力が落ちたり、この病巣が急性化して膿が大量に作られたりすると、歯ぐきがぷっくりと盛り上がることがあります。慢性的な状態が続いていると、膿を外に出すための通り道として、歯ぐきに「サイナストラクト」と呼ばれる、おできのようなものができることもあります。これは感染が続いている明確な証拠であり、一時的に閉じても原因が残るため再発しやすく、治療が必要です。

・歯の色が黒っぽく変色してくる

神経が死んでしまった歯は、時間の経過とともにその色合いが変化し、他の健康な歯と比べて黒っぽく、あるいは灰色がかって見えることがあります。これは、歯の表面につく茶渋やヤニなどの着色とは根本的に異なります。
神経が生きている歯は、内部の歯髄から水分や栄養が供給され、象牙質の透明感やみずみずしさが保たれています。その結果、歯髄組織が壊死・分解される過程で生じた血液成分(ヘモグロビンなど)が象牙質の中にある無数の細い管に入り込み、歯を内側から変色させてしまうのです。この歯の変色は、痛みなどの顕在症状が消えた後に現れる、静かなサインと言えます。

・突然、噛むと激しい痛みを感じる

確かに消えたはずの虫歯の痛みが、突然、食事中などに「噛むと痛い」という別の形の痛みとして再発することがあります。痛みの原因は、歯の根の周囲にあります。
歯と顎の骨の間には、「歯根膜(しこんまく)」という軽いクッションのような組織が存在し、力を受け止めたり、食べ物の硬い感覚を知ったりする重要な役割を担っています。
歯の内部で増殖した細菌が根の先にまで到達すると、その周囲の歯根膜にも炎症が起こります。炎症を起こしている歯根膜は非常に敏感になっているため、食べ物を噛んで歯に圧力がかかると、その刺激が直接的に鋭い痛みとして感じられます。症状が進むと、何もなくても歯が浮いているような感じがしたり、指で触っても激痛が走ったりすることもあります。
この痛みは、感染が歯の内部に留まらず、周囲組織へ拡大している危険なサインです。

希望はあります!神経が死んだ歯の治療法「根管治療」

・根管治療(歯の根の治療)とは?その目的と重要性

一度は虫歯の激しい痛みに悩まされ、その痛みが消えて安心した歯も、放置すれば抜歯に至る可能性があります。しかし、その歯を救うための重要な治療法が「根管治療(こんかんちりょう)」です。「根の治療」や「歯の神経の治療」とも呼ばれます。
この治療の最大の目的は、虫歯菌に感染して死んでしまった神経(歯髄)や、歯の根の中(根管)で腐敗した組織をしっかりと除去し、根管内の感染源を可能な限り徹底して除去・洗浄・消毒することです。感染が顎の骨へ広がるのを防ぎ、歯の根の先にできてしまった膿の袋(根尖病巣)の治癒を目指します。清掃が無事完了した後は、再び細菌が侵入しないように、根管の隅々まで薬剤を緊密に詰めて封鎖します。
この治療を適切に行うことで、抜歯を回避し、あなた自身の歯を機能的に残せる可能性が大きくあります。痛みというサインが消えた後でも、歯を残すための希望となる重要な治療です。

・精密根管治療が歯の寿命を考慮する理由

根管治療の成功は、歯の寿命につながります。なぜなら、歯の根の中は非常に細く、複雑に枝分かれしているため、肉眼だけでは完全にきれいにすることができないからです。感染源が残ってしまうと、数年後にまた根管の感染が再発し、痛みや腫れの原因となります。一般に再治療は初回より成功率が低くなる傾向があり、最悪の場合は抜歯を選択せざるを得ません。
マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)で術野を拡大・明視化し、複雑な根管内部を詳細に観察しながら行ったり、歯科用CTで三次元的に根の形態や病巣の広がりを正確に把握したりする治療です。経験だけに頼ることなく、感染源を確実に除去し、再発のリスクを最小限に抑えることが可能になります。精密な治療は、その歯が10年後、20年後も健康に機能し続けるための、歯の寿命を第一に考えた治療と言えます。

・治療期間や費用はどれくらいかかるのか

根管治療は、歯の内部を無菌化するという精密な作業をしっかり行うため、通常1回では完了せず、複数回の通院が必要です。治療期間は、歯の種類(前歯か奥歯か)、根管の数や形状の複雑さ、感染の度合いによって異なります。一般的に、治療費については健康保険が適用される場合と、保険適用外の自由診療となる場合があります。
保険適用の根管治療は基本的な手順に従って行われ、患者様の費用負担を抑えられます。一方、マイクロスコープや歯科用CTなどの高度な設備を使った「精密根管治療」は、より高い成功率と歯の長期保存を目指すもので、多くの場合、自由診療となります。再治療のリスクを軽減し、結果的に歯の寿命を延ばすことにつながる大きな余地があります。
ご自身の歯の状態にどの治療法が最適か、具体的な期間や費用については、診断後に担当の歯科医師と十分相談することが大切です。

根管治療で歯を残せなかった場合の選択肢

・抜歯後の選択肢①:ブリッジ

重度の虫歯が神経に達し、根管治療を行っても歯を残すことが困難で、やむを得ず抜歯した場合、失った歯の機能を補う方法の一つに「ブリッジ」があります。隣の健康な歯を土台(支台歯)として削り、そこに橋をかけるように連結された人工の歯を装着する治療法です。しっかりと固定されるため、自分の歯に近い感覚で噛むことができ、見た目も自然に仕上がります。
また、多くの場合、健康保険が適用され、治療期間も比較的短いのが特徴です。一方で、ブリッジを支えるために健康な歯を削らなければならないという大きな課題があります。一度削った歯は元に戻らず、虫歯になるリスクや、負担が増えることによる将来的な寿命への影響も考慮する必要があります。

・抜歯後の選択肢②:入れ歯(部分床義歯)

人工の歯と歯ぐきを模したピンク色の土台(床)が一体となったもので、残っている周囲の歯に金属や樹脂のバネ(クラスプ)を引っ掛けて安定させます。バネをかける歯には負担がかかり、見た目に金属が見えてしまう可能性もあります。

・抜歯後の選択肢③:インプラント

「インプラント」は、失った歯の機能を回復するための、周囲の歯を削らずに欠損部を補える有力な選択肢の一つです。この治療法では、歯を失った部分の顎の骨にチタン製の人工歯根(インプラント体)を外科手術によって埋め込み、その上に人工の歯を装着します。最大の特徴は、ブリッジや入れ歯のように周囲の健康な歯を削ったり、バネをかけたりする必要がない「独立した構造」である点です。
また、骨量・全身状態などの条件が整えば、顎の骨と結合して安定した噛み心地を得られる場合があります。

信頼できる歯科医院を見つけるための3つのポイント

・精密な検査・診断を行う設備が充実しているか

虫歯が神経まで達し、痛みが消えた後のような複雑な状態の歯は、その内部や根の先の状態を正確に把握することが治療の成否を分けます。
従来の二次元的なレントゲン写真だけでは、根管の複雑な形態や、隠れた病巣を見つけるのが難しい場合があります。三次元的に歯や顎の骨を撮影できる「歯科用CT」があれば、根管の数や走行、骨の破壊の程度などを立体的かつ正確に診断できます。これにより、治療前にリスクを把握し、より確実な治療計画を立てることが可能になります。
また、治療中に根管内を拡大して観察できる「マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)」は、精密な治療を行う上で重要な設備と言えます。これらの設備は、歯科医師の経験や技術を最大限に活かすための強力な助けとなり、視認性の向上によって治療の精度向上に役立ちます。

・治療の選択肢と、それぞれの利点・欠点を丁寧に説明してくれるか

虫歯が進行して神経に問題があった場合、その治療法には様々な選択肢が考えられます。例えば、根管治療一つをとっても、保険適用の治療と、マイクロスコープなどを用いた自由診療の精密治療があります。
また、歯の保存が難しい場合には、抜歯後の選択肢としてブリッジ、入れ歯、インプラントが候補に挙がります。信頼できる歯科医師は、ただ一つの治療法に固執するのではなく、患者様の歯の状態、価値観、ライフスタイルを踏まえ、それぞれの治療法のメリットだけでなく、デメリットやリスク、将来的な可能性についても、専門用語を避け、わかりやすい言葉で丁寧に説明してくれるはずです。
患者様がすべての情報を踏まえて、納得した上で自主的に治療法を選択できる「インフォームドコンセント(説明と同意)」を大切にする姿勢は、信頼関係を築く上で重要な要素です。

・根管治療に関する知識と経験が豊富な歯科医師か

根管治療は、歯科治療の中でも特に専門性が高く、術者の知識と技術、そして経験が治療の結果に大きく影響する分野です。虫歯によってダメージを受けた神経の治療は、非常に繊細な手技が要求されます。痛みが消えた歯の内部は、細菌に汚染された複雑な迷路のようになっており、この迷路を隅々まで攻略するには、解剖学的な深い知識と、数多くの症例を乗り越えてきた経験が必要とされます。
医院のウェブサイトなどで根管治療に関する情報発信を積極的に行っているかを確認するのも一つの方法です。治療に対する考え方や情熱、難症例への取り組み方などを知ることで、その歯科医師の専門性や治療への真剣な姿勢をうかがい知ることができます。

歯科医院を受診する前の準備と取り組み

・いつから痛み始めた?症状の経緯をメモしておく

歯科の診察では、患者様からの情報が何よりも重要です。特に、痛みがどのように変化したかは、歯の神経の状態を推測する上で重要な情報になります。
「2ヶ月ほど前から時々冷たいものがしみた」「1週間前から何もしなくてもズキズキする痛みに変わり、夜も眠れないほどだった」「3日前に、あれほど激しかった痛みが嘘のように消えた」というように、痛みの種類(しみる、ズキズキ、噛むと痛い等)、強さ、頻度の変化を記録しましょう。
また、歯ぐきの腫れや出血、膿のようなものが出た経験、歯の変色、口臭の変化など、痛み以外の細かなことでも遠慮なくお伝えください。これらの詳細な情報がパズルのピースのように組み合わさり、歯科医師はより正確に病状を把握し、最適な治療計画を迅速に策定することが可能になります。ご自身の言葉でまとめたメモは、安心して治療を受けるための第一歩となります。

・不安な点や質問したいことをリストアップする

治療に対する不安や疑問は、しっかりと解消してから治療に臨むことが大切です。診察室では緊張してしまい、本当に聞きたかったことを忘れることも少なくありません。そこで、事前に質問したいことをリストアップし、メモとして持参することをおすすめします。
「この歯の将来的な寿命はどのくらいですか?」「再発の可能性はありますか?」「保険適用と自由診療では、具体的にどのように違いますか?」など、質問はカテゴリー別にまとめると聞き漏れを防げます。費用・期間・再発リスク・通院回数も併せて確認しましょう。

・「怒られるかもしれない」という心配は不要です

「症状をなんとなく放置してしまったので、歯科医師に怒られるのではないか」という不安から、受診への一歩が踏み出せないというお話をよく伺います。
大切なのは、「今から、どうすればお口の健康を回復し、今後守っていけるか」という未来に向けた視点です。勇気を出して来院したことが素晴らしい決断であり、問題解決への最も重要な一歩です。
痛みが消えて放置してしまった虫歯でも、少々複雑な状態であっても、私たちは専門家として真剣に向き合います。安心して、ありのままの状態をお見せください。

「虫歯の痛みが消えた」に関するよくあるご質問

・Q. 神経が死んだら、もう痛みを感じることはないですか?

A. いいえ、そうとは限りません。虫歯が原因の「ズキズキ」とした痛みは、歯の内部にある神経(歯髄)が生きているので感じるものです。この神経が死んでしまうと、その種の痛みは確かに消えたように感じられます。
しかし、これは問題の終わりではなく、新たな問題の始まりです。細菌が増殖し、歯の根の先端から顎の骨まで感染を広げます。そうすると、今度は歯の根の周囲の組織(歯根膜)が炎症を起こし、「噛むと痛い」「歯が浮いたような感じがする」「歯ぐきが盛り上がって痛い」といった、これまでとは違う種類の痛みが起こります。

・Q. 治療は痛いですか?麻酔はかかりますか?

A. 治療中の痛みに不安を感じるお気持ち、よくわかります。炎症が非常に強い場合には麻酔がかかりにくいこともまれにありますが、その際は麻酔の追加や、効果を高めるための様々なテクニックを用いますのでご安心ください。治療後の痛みについても、鎮痛剤でコントロールできる場合がほとんどです。

・Q. 治療を中断してしまった場合、どうなりますか?

A. 根管治療の途中で中断してしまうことは、歯にとって非常に危険な状態です。治療の途中では、歯の内部の細菌を除去した後、最終的な薬を詰めるまでの間、仮の蓋をしています。
この仮の蓋は暫定的なものです。また、治療のために歯を削っているため、歯の強度が低下している状態です。硬いものを噛んだ時に歯が割れてしまう(歯根破折)危険もあり、最悪の場合、抜歯に至ることもあります。

・Q. 市販の痛み止めを飲んで様子を見ても良いですか?

A. 市販の痛み止め(鎮痛剤)は、一時的に強い痛みを和らげるには有効ですが、それは一時的な対症療法にとどまります。この薬は、虫歯の原因である細菌を殺したり、病状の進行を止めたりする効果は一切ありません。
特に、強い痛みの後に痛みが消えた場合、歯髄壊死の可能性も含め鑑別が必要です。早めに受診して評価を受けましょう。この段階では、もう痛み止めで様子を見ている場合ではなく、感染が骨に広がるのを防ぐための専門的な治療が必要です。

「痛くないから大丈夫」を卒業し、未来の歯を守るために

・今、行動することが、10年後の後悔を防ぐ

お口の健康は、日々の食事や会話、笑顔といった、私たちの生活の質(QOL)を支える非常に大切な基盤です。今は痛みがないからと問題を先送りすることは、未来の自分への負担を先送りしていることに他なりません。
例えば、神経が死んだ歯を放置した結果、10年後に歯が割れて抜歯に至るケースもあります。その際、失った歯の機能を取り戻すためには、ブリッジやインプラントといった、より大きな負担で高額な治療が必要となることがあります。その時になって、「なぜあの時、痛くないというだけで放置してしまったのだろう」と深く後悔する方は少なくありません。
専門的な検査を受け、根管治療などで自分自身の歯を救うことは、将来の身体的・精神的・経済的負担を大幅に軽減する、賢明な自己投資です。後悔のない未来のために、ぜひ今の行動を大切にしてください。

・痛みはなくても、虫歯は確実に進んでいるという事実

この記事で一番ご理解いただきたいのは、「痛みという感覚は、お口の健康状態を測る信頼できる指標ではない」という事実です。
一度痛かった虫歯の痛みが消えた時、歯の内部では「治癒」とは正反対に歯の神経が死に、痛みという警報装置が壊れてしまった後も、原因である細菌は活動を止めません。細菌は歯の根の中を完全に汚染し、根の先端から顎の骨に感染が広がり、慢性の感染巣が形成されることがあります。この過程の多くは自覚症状がなく、体調が悪化した瞬間に腫れたり痛んだりするまで気づかないこともあります。感覚に頼って「痛くないから大丈夫」と判断することの危険性を、ぜひご理解ください。

・まずは専門家である歯科医師に相談することから始めましょう

ここまでお読みになり、ご自身の状態に不安を感じられたかもしれません。歯科医師が、どのような治療の選択肢があり、それぞれのメリット・リスクは何なのかを丁寧に説明します。

監修:広尾麻布歯科
所在地〒:東京都渋谷区広尾5-13-6 1階
電話番号☎:03-5422-6868

*監修者
広尾麻布歯科
ドクター 安達 英一
*出身大学
日本大学歯学部
*経歴
日本大学歯学部付属歯科病院 勤務
東京都式根島歯科診療所 勤務
長崎県澤本歯科医院 勤務
医療法人社団東杏会丸ビル歯科 勤務

Contact

お問い合わせ

各種お問い合わせは下記よりお願いいたします。

ホームページ運営について

広尾麻布歯科では、それぞれの治療分野に特化した専門的な知識と経験を持つ歯科医師が在籍しています。患者さんに正確な医療情報を提供するため、医師監修の元、当院のホームページの運営および情報発信を行います。これを守る事により、患者さんに安心して当院の治療をお受け頂く環境を整えます。

当院では医療法に基づく広告規制を厳守しています。

医業や歯科医業、病院や診療所に関連する広告に関する指針(医療広告ガイドライン)を遵守し、正確で信頼性の高い情報を提供することに努める。