繰り返す口臭の原因は?歯科でできる根本治療と予防のポイント - 広尾麻布歯科
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2025.04.10

繰り返す口臭の原因は?歯科でできる根本治療と予防のポイント

目次

1. 口臭が気になるのはなぜ?まずは原因を知ることから

口の中の汚れが発するガスとは?

口臭の主な原因は、口の中に棲む細菌が発生させる「揮発性硫黄化合物(VSC)」です。これは、舌や歯、歯ぐきの周囲に残った食べかすや、古くなった粘膜細胞、血液成分などが細菌によって分解されることで発生するガスです。卵が腐ったような臭いの「硫化水素」、生ゴミのような臭いの「メチルメルカプタン」などが代表的で、これらは非常に強いにおいを放ちます。とくに、歯磨きを怠った場合や、歯周病が進行していると歯周ポケット内で細菌が大量に繁殖し、口臭は悪化します。また、唾液の分泌が少なくなる就寝中やストレス状態でも、細菌の抑制力が低下するため、においが強まりやすいのです。日常的な歯みがきや舌の清掃だけでなく、定期的な歯科でのケアが重要になります。

舌苔が原因?見落としがちな口臭のもと

舌の表面、特に奥の部分に見られる白っぽい膜のようなものを「舌苔(ぜったい)」といいます。これは食べかすや唾液の成分、口腔粘膜の剥離物などが舌の凹凸に付着し、そこに細菌が繁殖してできるもので、強いにおいの原因になります。歯みがきで口腔内を清潔にしても、舌苔が放置されていると、口臭の元が残ったままの状態になります。特に、朝起きたときに強い口臭を感じる人は、舌苔の蓄積が関与している可能性が高いといえるでしょう。舌苔は舌ブラシなどで定期的に清掃することが大切ですが、強くこすりすぎると粘膜を傷つけてしまうため、優しく表面をなでるように清掃しましょう。また、唾液の分泌が少ない人は舌苔がつきやすいため、水分補給や口腔保湿剤の使用も効果的です。

起床時や空腹時に強まるのはなぜ?

起床時や長時間空腹の状態で感じる口臭は、「生理的口臭」と呼ばれる自然な現象です。睡眠中や空腹時には唾液の分泌量が著しく低下しますが、唾液には口の中の細菌の繁殖を抑える働きがあるため、分泌が少ないと細菌が急激に増殖し、においを放つガスが発生しやすくなるのです。とくに、就寝中は舌苔も増えやすく、これが朝起きたときの不快なにおいの原因になります。また、緊張やストレスで口呼吸になりがちな方も、唾液が蒸発しやすく、口の中が乾燥するため、同様に口臭が強くなります。このような生理的口臭は、朝起きたらすぐにうがい・歯磨きを行う、こまめな水分補給をする、リラックスして過ごすなどの簡単な工夫である程度防ぐことが可能です。

2. 一時的な口臭と慢性的な口臭の違いとは

食べ物やストレスによる一過性のにおい

一時的な口臭の多くは、日常生活における食習慣や体調の変化に起因します。代表的な例が、ニンニクやネギ、アルコールなどに含まれる強いにおいの成分です。これらは消化吸収されたのち血液に乗って肺から排出されるため、口腔ケアを行ってもすぐには改善されません。しかし、時間の経過とともに代謝され、数時間〜半日程度で自然に消失するため、通常は心配する必要はありません。また、強いストレスを感じたときや緊張時にも一過性の口臭が現れることがあります。これは自律神経が交感神経優位になることで唾液の分泌が抑えられ、口腔内が乾燥し、細菌の活動が活発になるためです。このような一時的な口臭は、リラックスや水分補給、時間の経過で改善が見込まれます。

持続する口臭は「病的口臭」の可能性

一方で、時間帯や状況にかかわらず常に感じるような強いにおいがある場合、それは「慢性的口臭」あるいは「病的口臭」と呼ばれる状態です。口臭の大半は口の中の疾患、特に歯周病や虫歯、舌苔の蓄積に起因することが多く、慢性的な細菌の繁殖がガスを発生させ続けていることが特徴です。こうした病的口臭の原因は自分自身では気づきにくい場合も多く、慢性化しているほどに、周囲の人にも不快感を与える可能性が高まります。また、口腔内の問題以外にも、鼻や喉の炎症、消化器疾患、糖尿病、腎機能の低下といった全身的な病気が関与していることもあります。慢性的な口臭を放置してしまうと、口腔内環境の悪化だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼすリスクがあるため、早期の歯科受診が推奨されます。

口臭のタイプを見極めることが第一歩

自分の口臭が一時的なものか、それとも慢性的な病的口臭なのかを見極めることは、適切な対処への第一歩です。一時的な口臭は生活習慣の見直しやケアで改善しますが、病的口臭は原因に対する治療が不可欠です。たとえば、舌苔の蓄積が主因であれば舌の清掃と唾液の分泌を促す対策、歯周病が進行しているならば歯科でのスケーリングやルートプレーニングなどの専門的な処置が必要となります。さらに、自分自身では臭いに慣れてしまい気づかないケースも多いため、第三者の意見や歯科医院での口臭測定器による数値的な診断が有効です。とくに、においを指摘された経験がある方や、長期間にわたり気になっている方は、自己判断せず、専門家に相談することが重要です。正確な診断があれば、症状に合った適切な予防・治療が可能となり、不安を根本から解消できます。

3. 歯周病がもたらす強い口臭のメカニズム


歯周ポケットで発生する硫黄ガス

歯周病が進行すると、歯と歯ぐきの間に「歯周ポケット」と呼ばれる深い溝ができます。このポケット内は空気が届きにくく、嫌気性菌という酸素を嫌う細菌にとって最適な繁殖環境となります。これらの細菌はタンパク質を分解する過程で、硫化水素やメチルメルカプタンといった揮発性硫黄化合物(VSC)を発生させ、強い口臭の原因となります。特にメチルメルカプタンは腐ったキャベツのような臭いを発し、病的口臭の中でも最も不快とされるものの一つです。歯周ポケットが深くなるほど、ガスの発生量は増え、ブラッシングなどの通常のケアでは届きにくいため、臭いの改善が難しくなります。自覚症状がない段階でも、こうした細菌の活動は進行しているため、口臭が最初のサインとなることも少なくありません。

歯ぐきからの出血や膿の影響

歯周病が進行すると、炎症によって歯ぐきが赤く腫れ、ブラッシング時や硬い食べ物を噛んだ際に出血しやすくなります。さらに重症化すると、歯周ポケット内部に膿がたまり、歯ぐきから排出されることがあります。この膿には大量の細菌とその代謝産物が含まれており、非常に不快な臭気を伴います。口の中で出血や膿が持続的に存在することは、恒常的に悪臭を発する要因となり、いくら口をゆすいでも簡単には消えません。また、出血によって鉄分やタンパク質が口腔内に滞留することで、細菌の栄養源となり、さらに悪化を招きます。このような状況は本人だけでなく、周囲の人にも気づかれるレベルの強い口臭となることが多く、社会生活においても大きなストレスとなる可能性があります。

無症状でも進行するのが歯周病の怖さ

歯周病は「サイレントディジーズ(沈黙の病気)」とも呼ばれるように、初期の段階では痛みや腫れといった自覚症状が乏しいのが特徴です。そのため、口臭という「におい」だけが唯一の異変として現れることも少なくありません。気づかないうちに歯周病が進行し、気づいたときには歯を支える骨が溶け始め、歯がグラついてしまうケースもあります。口臭が慢性的に続く場合、歯ぐきの状態を可視化する歯科でのチェックが非常に重要です。歯周ポケットの深さ、出血の有無、歯の動揺などを診ることで、歯周病の進行度を把握し、適切な治療につなげることができます。口臭対策としてマウスウォッシュなどを使用しても、根本的な原因が解決されない限り改善は難しく、むしろ臭いをごまかすことで発見を遅らせることにもなりかねません。

4. 虫歯や詰め物の隙間からにおう場合も


虫歯の中で腐敗が進むとどうなる?

虫歯は初期段階では目立った痛みや臭いを感じにくいこともありますが、進行するにつれて象牙質や歯髄(神経)にまで達し、内部で細菌が繁殖するようになります。これらの細菌は歯の中の組織を分解し、揮発性硫黄化合物やアンモニアなど、口臭の原因となる悪臭物質を発生させます。特に、神経が死んでしまった歯の内部は細菌にとって格好の繁殖場所となり、慢性的な腐敗臭を発するようになります。こうした口臭は口腔内の清掃では取り除けず、本人が気づきにくい場合も多くあります。歯の中で腐敗が進行している場合、口を閉じていても臭いが漏れることがあり、周囲に不快感を与えてしまうケースも。虫歯による口臭は進行とともに強くなり、神経が壊死した場合にはさらに重篤な臭気を伴うため、早期の診断と治療が欠かせません。

古くなった詰め物の隙間に潜む菌

一度治療を受けた歯でも、年月の経過とともに詰め物(インレーやクラウン)と歯の間に微細な隙間が生じることがあります。この隙間から細菌が侵入し、内部で虫歯が再発する「二次カリエス(再発性う蝕)」になると、外見上はきれいに見えても中で虫歯が進行していることがあります。この内部虫歯が発する臭いもまた、他人に気づかれるレベルの強いものになりやすいのが特徴です。さらに、詰め物の材質や接着方法の劣化によって隙間が広がると、食べカスやプラークがたまりやすくなり、細菌の温床となります。しっかり歯磨きをしているつもりでも、詰め物の内部に潜む虫歯には届かず、根本的な改善には至らないのです。長年使っている詰め物や被せ物がある方は、定期的に歯科でのチェックを受け、適切なタイミングでの再処置を行うことが、口臭の予防にとっても重要なポイントです。

自覚症状がなくても臭いのもとになる

虫歯や詰め物の隙間に原因がある口臭の怖い点は、痛みなどの明確な自覚症状がないまま臭いだけが進行するケースが多いことです。虫歯が深部に達していても、神経がすでに壊死していると痛みを感じることがなく、臭いだけが周囲に伝わる状況になります。こうした状態では本人が気づきにくく、家族や職場の人から指摘されて初めて受診するケースも少なくありません。また、詰め物の下で虫歯が進行している場合には、通常の鏡では見えず、歯科でのレントゲン撮影や検査が必要です。さらに、咬み合わせのズレや噛み締め癖があると詰め物に負担がかかり、隙間を広げる要因になります。つまり、見た目に問題がなくても、定期的な専門的チェックを怠ると臭いの原因に気づかず放置してしまうリスクがあるのです。口臭が続く、または原因がはっきりしないという方は、虫歯や詰め物のトラブルが潜んでいないかをチェックすることが大切です。

5. 舌の表面に潜む口臭の原因とは?


舌苔にたまる細菌と代謝物

舌の表面には「舌乳頭」と呼ばれる細かい突起が無数に存在し、その間に食べカスや剥がれた粘膜、口腔内の細菌が蓄積すると白っぽい苔のようなもの、いわゆる「舌苔(ぜったい)」が形成されます。この舌苔は見た目の問題だけでなく、口臭の主な原因物質である「揮発性硫黄化合物(VSC)」の発生源となります。これらの成分は、舌苔内の嫌気性細菌がタンパク質を分解する際に生成する悪臭ガスで、卵が腐ったようなにおいや金属臭として感じられることがあります。特に唾液の分泌が少ない人、口呼吸をしている人、加齢やストレス、全身疾患を持つ人は舌苔がつきやすく、結果として慢性的な口臭の原因になってしまいます。舌の清掃を怠っていると、たとえ歯や歯ぐきが健康でも口臭が解消されないケースが多く、注意が必要です。

舌ブラシによる正しいケア方法

舌苔は歯ブラシでこするのではなく、専用の「舌ブラシ」を用いて正しい方法で優しく除去することが重要です。歯ブラシでゴシゴシと力を入れて舌をこすると、舌の粘膜が傷ついて炎症を起こし、かえって細菌が増殖しやすい環境を作ってしまうため逆効果になります。舌ブラシは舌の奥から手前に向かって数回、軽くなでるように動かし、強くこすらないのがポイントです。特に朝起きた直後は口腔内の細菌数が最も多く、舌苔も増えているため、朝の舌清掃を習慣化することが有効です。また、うがいだけでは舌苔は十分に除去できないため、物理的な清掃が不可欠です。市販されている舌用クリーナーは種類も豊富ですが、歯科医院で自分に合ったタイプのものを相談するのもよいでしょう。日々のケアを継続することで、舌苔由来の口臭を抑えられる可能性が高まります。

舌の色や厚みにも注目を

舌の色や厚みの変化も、口臭や口腔内の健康状態を把握する手がかりになります。健康な舌は、淡いピンク色でやや湿り気があり、表面がなめらかです。舌苔が多くついている場合は、白や黄味がかった膜のようなものが覆い、舌全体が分厚く見えたり、時には表面がボコボコとしていたりします。これは、細菌の蓄積だけでなく全身の不調(胃腸の不具合や免疫低下など)を反映していることもあります。特に、黄色っぽい苔が厚くついている場合は胃の不調や口腔内の炎症が疑われ、黒ずんだ舌や茶色っぽい舌は喫煙や薬の影響も考えられます。見た目の変化に気づいたら、ただの汚れと決めつけず、歯科医院で相談することが大切です。舌の色や形状を日常的に観察する習慣を持つことで、口臭の早期対処や全身の健康チェックにもつながります。

6. 口腔乾燥(ドライマウス)がにおいを悪化させる理由

唾液の役割と殺菌作用

口臭対策において重要な役割を担うのが、唾液です。唾液には単なる潤滑や消化の働きだけでなく、口腔内の自浄作用や抗菌作用があります。口の中で発生する細菌や食べかす、不要な細胞の残骸などを洗い流す「洗浄機能」、口臭の原因となるガスや細菌の増殖を抑える「抗菌機能」、さらには酸を中和して歯を守る「緩衝機能」など、多彩な役割があるのです。しかし、何らかの原因で唾液の分泌が減少すると、これらの作用が十分に働かなくなり、細菌が繁殖しやすい状態になります。とくに舌苔や歯垢に含まれる嫌気性細菌は乾燥状態で活動が活発化し、揮発性硫黄化合物(VSC)という悪臭ガスを大量に発生させます。つまり、唾液の分泌が不十分になることは、直接的に口臭の悪化を招く重大なリスク要因なのです。

口呼吸や加齢による唾液量の減少

口腔乾燥が引き起こされる原因にはいくつかありますが、代表的なのが「口呼吸」と「加齢」です。口呼吸をしていると、絶えず口の中が外気にさらされて乾燥しやすくなります。寝ている間のいびきや鼻詰まりによって無意識に口呼吸になっている人も多く、朝起きたときに喉や口の中がカラカラに乾いている方は注意が必要です。また、年齢を重ねるにつれて唾液腺の機能が低下し、自然と唾液の分泌量が減っていきます。特に女性の場合は更年期に入るとホルモンバランスの変化により口腔乾燥のリスクが高まる傾向があります。乾燥状態が慢性化すると、食事中や会話中にも不快感を覚えるだけでなく、口臭も悪化しやすくなります。口呼吸を改善するためには、姿勢の見直しや鼻呼吸のトレーニングなどが効果的です。また、加齢による唾液の減少には、唾液腺マッサージや唾液分泌を促す食品の摂取も有効です。

薬の副作用による口腔乾燥にも注意

近年増えている口腔乾燥の原因の一つに、「薬の副作用」があります。特に降圧剤、抗うつ薬、抗アレルギー薬、利尿剤などには、唾液の分泌を抑制する成分が含まれていることが多く、これが長期間の服用でドライマウスを引き起こす原因になります。また、服用している薬の種類が増えるほど、その影響が強く出る傾向があります。服薬によって口の中が乾燥しやすくなると、食事中に噛みにくくなったり、話すたびに口が乾いて不快に感じたりすることがありますが、それと同時に口臭も強くなりやすいのです。もし服薬の影響が疑われる場合は、自己判断で中止せず、必ず主治医や歯科医師に相談しましょう。場合によっては、薬の種類を調整したり、口腔乾燥対策として保湿ジェルや洗口液の使用、人工唾液の導入が提案されることもあります。歯科では、唾液量を簡易的に測定できるツールもあり、ドライマウスかどうかを確認することができます。

7. 口臭と全身疾患の関係に注意

糖尿病や胃腸疾患による特殊なにおい

口臭の原因は口の中に限らず、全身の健康状態と密接に関係しています。中でもよく知られているのが、糖尿病や胃腸疾患による口臭です。糖尿病の患者では、血糖コントロールがうまくいっていないと「ケトン臭」と呼ばれる甘酸っぱいようなにおいが口から発せられることがあります。これは体内の代謝が異常になっているサインであり、放置すると命に関わるリスクもある深刻な状態です。また、慢性的な胃炎や逆流性食道炎などの消化器系の疾患があると、胃酸や未消化物が逆流して口臭を悪化させることがあります。特に空腹時や就寝中は胃酸の逆流が起きやすいため、朝起きたときの強いにおいに悩まされる方も少なくありません。さらに、ピロリ菌感染があると胃の中で異常な発酵が起こり、独特のにおいが口から出るケースもあります。これらのにおいは歯磨きやマウスウォッシュでは改善されないことが多く、口臭の正体を見極める上でも、全身疾患との関連性を無視することはできません。

呼吸器系・肝臓・腎臓が関与する場合も

口臭の中には、呼吸器系の疾患が原因となるケースもあります。慢性鼻炎、副鼻腔炎、扁桃炎、気管支炎などが挙げられ、これらによって喉や鼻の奥で細菌が繁殖し、膿やたんがたまりやすくなります。この膿や分泌物が口の中に流れ込むことで、においの強い口臭を引き起こします。また、慢性的な咳や喉の違和感とともに、金属臭や膿臭のような異臭が感じられることもあります。加えて、肝臓疾患や腎臓疾患など、体の解毒・代謝機能が低下する病気にかかると、血液中に不要な物質が蓄積され、それが呼気として排出されるようになります。肝臓が悪い場合には「肝性口臭」といわれる独特の腐敗臭が、腎機能が低下している場合にはアンモニア臭が強くなることがあります。これらは単なる口腔内の清掃不足では対処できないにおいであり、歯科の範囲を超えた医療機関での精密検査と治療が必要です。

内科との連携で根本原因の発見へ

口臭があるからといって必ず全身疾患を疑う必要はありませんが、日常的なケアや歯科治療を行っても改善されない場合、原因が口腔外にある可能性を視野に入れる必要があります。歯科医院では、まず口腔内の状態を詳細にチェックし、口臭の原因が歯周病や舌苔などにあるかを判断します。もしそれらが見当たらない、または処置しても改善が見られない場合は、全身疾患の可能性を踏まえた対応が求められます。このようなケースでは、医科との連携が極めて重要です。内科、消化器科、耳鼻咽喉科など、症状に応じて適切な医療機関への紹介や連携治療がスムーズに行われることで、根本的な原因の特定と治療が可能になります。患者様自身も「口臭=歯の問題」だけではなく、体全体の健康のバロメーターとして捉え、異変を感じたら早めに受診する姿勢が大切です。歯科医院がその第一歩としての相談窓口になれるよう、歯科医師とのコミュニケーションも積極的に行いましょう。

8. 歯科で行う口臭検査と診断の流れ

治療後のケアとフォローアップ

専用機器による口臭測定とは

歯科医院で口臭の有無や程度を調べる際、まず行われるのが専用機器による数値的な測定です。代表的なのが「ガスクロマトグラフィー」や「オーラルクロマ」といった装置で、これらは口腔内の揮発性硫黄化合物(VSC)の濃度を測定する機能を持ちます。VSCには主にメチルメルカプタン、硫化水素、ジメチルサルファイドなどが含まれ、それぞれ特有の強い臭いを持っています。これらのガスは、歯周病や舌苔、虫歯などの口腔内トラブルによって生成されることが多く、その濃度を測ることで口臭の原因と強さを客観的に評価できます。また、呼気を袋に採取して測定する方式であれば、全身疾患由来の口臭も検知可能です。測定結果は数値として表示されるため、患者様自身が自覚しづらい「他臭症」(他人にはにおうが本人は気づかない口臭)を可視化でき、治療の動機付けにも役立ちます。

口腔内診査で原因箇所を特定

数値だけでは口臭の根本的な原因を特定することはできません。そのため、口臭検査と併せて行われるのが歯科医師による詳細な口腔内診査です。まずチェックされるのが、歯周病の有無とその進行度です。歯周ポケットの深さ、歯ぐきの腫れや出血、歯の動揺度などを調べ、歯周病が原因となっているかどうかを判断します。次に、虫歯や詰め物の劣化、被せ物と歯の間にできた隙間の有無も確認されます。これらの箇所は食べかすがたまりやすく、腐敗臭の温床になりやすいため、見落とせないポイントです。さらに、舌の表面にたまる舌苔の状態や、粘膜の健康状態、唾液量や質も確認されます。唾液の分泌量が少なければ、口臭が悪化する要因になるため、ドライマウスの診断も同時に行われるケースがあります。こうした多角的な視点から原因を探ることで、見落としのない包括的な診断が可能になります。

結果に基づいた個別ケアの提案

検査と診査を通じて得られた情報をもとに、患者様一人ひとりに合った治療方針とケアプランが提示されます。たとえば、歯周病が主な原因と判明した場合は、歯石除去やルートプレーニングなどの歯周基本治療が必要になります。また、舌苔が多いケースでは、正しい舌ブラシの使い方や舌専用クリーナーの導入が勧められます。虫歯や補綴物の劣化が原因の場合は、詰め物や被せ物の再治療が提案されることもあるでしょう。さらに、唾液の分泌低下が見られる場合には、保湿ジェルや唾液分泌を促すトレーニング、生活習慣の見直しについてのアドバイスが行われます。加えて、測定結果を共有しながら、どの要素がどの程度の影響を与えているかを明確にすることで、患者様自身が治療やセルフケアに前向きに取り組めるようになります。歯科医院では治療のみにとどまらず、予防・再発防止までを含めたトータルケアが行われるため、繰り返す口臭に悩む方にとって非常に有益なサポートとなるのです。

9. 口臭を改善するための歯科的アプローチ

歯石除去や歯周病治療で菌の温床を一掃

口臭の大きな原因のひとつが、歯周病菌をはじめとした嫌気性細菌によるガスの発生です。これらの細菌は、歯と歯ぐきの間の「歯周ポケット」や歯石に潜み、そこでタンパク質を分解しながら、強い臭いを伴う揮発性硫黄化合物(VSC)を発生させます。こうした環境を一掃するには、歯科医院でのプロフェッショナルな歯石除去(スケーリング)と、歯周ポケット内部までの徹底したクリーニング(ルートプレーニング)が不可欠です。歯石は市販の歯ブラシでは除去できないため、セルフケアだけでは限界があります。特に、目に見えない歯ぐきの下の歯石は歯周病の温床となりやすく、定期的に除去することで菌の活動を抑制できます。治療後には炎症が落ち着き、出血や膿の排出も改善されることで、口臭の根本的な改善につながります。歯周病が進行しているケースでは、歯周外科処置や再生療法といった高度な治療が必要になることもありますが、いずれも長期的な口臭対策において重要なプロセスです。

舌や粘膜のクリーニングも大切

歯のケアに加え、見落とされがちなのが「舌のケア」です。舌の表面、特に奥の部分には「舌苔」と呼ばれる白〜黄褐色の汚れがたまりやすく、ここには多くの細菌が存在しています。舌苔の主成分は食べかすや剥がれた粘膜、細菌などで、これらが分解される際に臭いの強い成分が発生します。歯科医院では舌の状態をチェックし、必要に応じて専用の舌クリーナーや清掃方法を提案してくれます。また、舌を傷つけずに効果的に清掃するための圧力や方向など、自己流では難しい正しい舌磨きの指導も受けることができます。さらに、口臭の原因は舌苔だけに限らず、口の中の粘膜(頬や口蓋)にも菌が付着している場合があります。これに対しては、歯科医院でのPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)や殺菌性の高い洗口液による処置が効果的です。粘膜ケアを行うことで、口腔全体の細菌バランスが整い、臭いの元を抑えることが可能になります。

生活習慣の指導と定期的なメンテナンス

歯科での治療だけでは、口臭を完全に防ぐことはできません。再発を防ぎ、健康な状態を維持するには、日々の生活習慣の見直しとメンテナンスが欠かせません。例えば、糖分の多い食事や間食の頻度が高いと、口腔内の細菌が活発になり、臭いの原因となるガスを多く発生させます。また、口呼吸や睡眠中の無呼吸症候群など、唾液の分泌量を減らす習慣や体調も口臭の要因です。歯科医院では、こうした患者の生活背景をヒアリングし、個々に合った食生活のアドバイスや、口呼吸を防ぐためのマウスピースの活用提案なども行います。さらに、口腔内の状態を維持するために、3〜6か月ごとの定期検診とプロフェッショナルケアが推奨されます。歯石や着色汚れの除去に加えて、歯ぐきや舌の状態をチェックし、再発リスクを早期に発見することができます。これにより、患者自身のモチベーションも高まり、正しいセルフケア習慣が長期的に定着しやすくなります。

10. 繰り返す口臭に悩んだら、早めの歯科相談を

治療の流れと注意点

口臭対策グッズだけでは限界がある

市販のマウスウォッシュやタブレット、スプレーなどの口臭対策グッズは、手軽に使えるという点で人気があります。確かに一時的な清涼感を得られたり、口の中の乾燥を和らげる効果はありますが、根本的な解決にはつながりません。特に、歯周病や虫歯、舌苔といった明確な原因がある場合、グッズだけで口臭を抑えるのは難しいのが現実です。また、香りでにおいを「ごまかす」ような対策では、逆に周囲の人に「本当は口臭があるのでは?」と気づかれるリスクも否定できません。こうしたグッズは、あくまで一時的な補助として位置づけ、原因にアプローチすることが口臭治療の本質です。何度も口臭が気になったり、周囲から指摘されるようであれば、それは「体からのSOSサイン」であると考えるべきです。特に、口臭が慢性的に続いている方や、朝起きたときに強いにおいを感じる方は、早めの歯科受診を検討すべきタイミングです。

根本治療で自信のある毎日へ

口臭は、外見には現れにくいため、他人に相談しづらい悩みのひとつです。しかし、実際には多くの人が同じように悩んでおり、歯科医院では専門的に「口臭外来」や「予防歯科」の一環として口臭治療を行っています。口臭の根本的な治療には、原因を特定することが第一歩です。歯周病、虫歯、舌苔、唾液の減少、生活習慣…さまざまな要因が複合的に関係しているため、専門的な視点からの診断が欠かせません。歯科医院では、専用の口臭測定機器でガスの種類や濃度を調べたり、歯周ポケットの深さを測定することで、においの「発生源」を明確にします。そして、その原因に合わせた適切な処置──歯石除去や歯周病治療、舌苔のケア、生活習慣の見直し、唾液分泌の促進指導など──を段階的に行っていきます。治療を受けることで、以前よりも自信を持って人と会話できるようになる方も多く、日常生活の質が大きく向上するケースも少なくありません。

気になるなら今すぐ専門のケアを

「様子を見よう」「市販の対策で何とかなるだろう」と放置してしまうことで、口臭の原因は進行してしまう可能性があります。歯周病であれば、進行することで歯ぐきの腫れや出血、最終的には歯のぐらつきや脱落にまで至るケースもあります。また、口臭の原因が内科的な疾患に起因する場合もあり、その発見の遅れが全身の健康リスクにつながることもあるため、決して軽視できません。歯科医院に相談すれば、原因が口腔内にあるか、それ以外にあるかも判別しやすくなります。何より、定期的に通院していれば、口臭だけでなく虫歯や歯周病の早期発見・早期治療にもつながり、長期的に健康なお口の環境を保つことが可能になります。「口臭が気になるけれど、相談しづらい」と感じている方こそ、歯科医院での専門的なサポートを受けてほしいところです。患者のプライバシーを尊重し、丁寧なカウンセリングを行う歯科医院が増えているため、安心して第一歩を踏み出せます。気になったそのときこそ、治療のチャンスです。専門のケアを受けて、清潔で快適な口腔環境を手に入れましょう。

監修:広尾麻布歯科
所在地〒:東京都渋谷区広尾5-13-6 1階
電話番号☎:03-5422-6868

*監修者
広尾麻布歯科
ドクター 安達 英一
*出身大学
日本大学歯学部
*経歴
日本大学歯学部付属歯科病院 勤務
東京都式根島歯科診療所 勤務
長崎県澤本歯科医院 勤務
医療法人社団東杏会丸ビル歯科 勤務
愛育クリニック麻布歯科ユニット 開設
愛育幼稚園 校医
愛育養護学校 校医
・青山一丁目麻布歯科 開設
・区立西麻布保育園 園医
*所属
日本歯科医師会
東京都歯科医師会
東京都港区麻布赤坂歯科医師会
日本歯周病学会
日本小児歯科学会
日本歯科審美学会
日本口腔インプラント学会

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