歯が透けて見えるのはなぜ? エナメル質形成不全と酸蝕症の原因 - 広尾麻布歯科
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2025.03.14

歯が透けて見えるのはなぜ? エナメル質形成不全と酸蝕症の原因

目次

鏡を見ると歯が透けている…これって大丈夫?

歯が透ける原因とは?正常な歯との違い

鏡で自分の歯を見たときに、「なんだか歯が透けて見える」と感じたことはありませんか?正常な歯と比較して、エナメル質が薄くなっていたり、部分的に透明感が増していたりすると、光が通りやすくなるため、歯が透けて見えることがあります。この現象は、主にエナメル質形成不全や酸蝕症といった歯の構造に関わる問題が原因で起こります。

正常な歯の構造
  • 歯は外側からエナメル質・象牙質・歯髄(神経)の順に層を形成
  • エナメル質が十分な厚みを持っていれば、歯はしっかりとした白さを保つ
歯が透ける原因
  • エナメル質が薄い:生まれつきエナメル質がうまく形成されない「エナメル質形成不全」の場合、通常よりも歯が薄くなり、光が透けやすくなる。
  • 酸によるダメージ:食生活の影響や胃酸の逆流などによってエナメル質が溶けてしまう「酸蝕症」により、歯が透明っぽく見えることがある。
  • 摩耗や加齢による変化:歯ぎしりや強い歯磨きの習慣によって、長年にわたりエナメル質が少しずつ削れ、歯の透明感が増すことがある。

どんな人に多い?子どもから大人まで影響する要因

歯が透けて見える現象は、子どもから大人まで幅広い年齢層に見られますが、特に影響を受けやすいのは以下のような人です。

子どもの場合
  • エナメル質形成不全の影響で、乳歯や生えたばかりの永久歯が透けやすい
  • 酸の多い食品(ジュースや柑橘類)を頻繁に摂取することで、エナメル質が弱くなる可能性がある
大人の場合
  • 炭酸飲料やスポーツドリンクを日常的に摂取することで酸蝕症のリスクが高まる
  • 胃酸の逆流(逆流性食道炎)があると、エナメル質が徐々に溶ける
  • 長年の歯ぎしりや強いブラッシングが原因でエナメル質が薄くなる

透けて見える歯を放置するとどうなる?

歯が透けている状態を放置すると、次のような問題が発生する可能性があります。

1. 知覚過敏が悪化する

エナメル質が薄くなると、歯の内部にある象牙質が露出しやすくなり、冷たいものや熱いものがしみる知覚過敏を引き起こす可能性があります。

2. 虫歯のリスクが高まる

エナメル質が正常な厚みを保っている場合、虫歯菌の酸から歯を守る役割を果たします。しかし、エナメル質が薄くなっていると虫歯菌の影響を受けやすくなり、虫歯のリスクが上昇します。

3. 見た目の変化が進行する

歯が透ける状態が悪化すると、次第に黄ばみが目立つようになります。これは、エナメル質が薄くなることで、その下の象牙質(黄色味を帯びた層)が透けて見えるようになるためです。

4. 歯の耐久性が低下する

エナメル質が薄くなると、歯がもろくなり、ちょっとした衝撃で欠けたり割れたりするリスクが高まります。特に、歯ぎしりや強い咬みしめの癖がある人は、エナメル質の損傷がさらに進行しやすくなります。



エナメル質形成不全とは?歯が弱くなる先天的な要因

エナメル質形成不全とは?歯が透ける理由

エナメル質形成不全とは、歯の表面を覆うエナメル質が正常に形成されない状態のことを指します。通常、エナメル質は硬く、歯を外部の刺激から守る役割を果たしますが、エナメル質形成不全の歯はその構造が不完全であり、薄くて脆く、歯が透けて見えたり、色ムラがあったりすることが特徴です。

エナメル質形成不全の症状
  • 歯が通常よりも白くない、または部分的に黄色や茶色になっている
  • 歯の表面がざらついている、または小さな穴が開いている
  • 知覚過敏になりやすい(冷たいものや甘いものがしみる)
  • 歯が透けて見える、または光を当てると透明感が増す
歯が透ける理由

エナメル質が十分に発達していないと、歯の内側にある象牙質が透けて見えることがあります。象牙質は通常黄色みを帯びた色をしているため、エナメル質形成不全の歯は「黄ばみが目立つ」「白くならない」と感じることが多いです。

また、エナメル質が薄いために、光の透過率が上がり、歯が半透明のように見えることがあります。この状態を放置すると、エナメル質がさらに摩耗し、歯がもろくなってしまうため、適切なケアと治療が必要です。

どうしてエナメル質がうまく作られないのか?発生のメカニズム

エナメル質形成不全の原因は、主に胎児期や幼少期の成長過程における影響によるものと考えられています。エナメル質は、歯が生える前に形成されるため、その過程で何らかの異常が生じると、正常なエナメル質を作ることができなくなります。

主な原因
胎児期の影響
  • 妊娠中の栄養不足や病気(高熱、ウイルス感染など)
  • 妊娠中に服用した薬の影響
  • 母親の喫煙や飲酒
乳幼児期の影響
  • 高熱を伴う病気(はしか、水ぼうそうなど)
  • ビタミンD不足によるカルシウムの吸収不良
  • 低出生体重児や早産
環境要因
  • フッ素の過剰摂取(フッ素症)
  • 長期間の栄養バランスの偏り
エナメル質形成不全の影響が出る時期
  • 乳歯が生える頃(生後6か月~3歳)
  • 永久歯が生える頃(6歳~12歳)

特に6歳臼歯(第一大臼歯)や前歯に発症しやすいとされており、生え変わりの時期に歯科医院でしっかりチェックすることが重要です。

遺伝との関係は?親子で似ることもある

エナメル質形成不全は、環境要因だけでなく、遺伝的な要因によっても引き起こされることがあります。

エナメル質形成不全が遺伝するケース
  • 親も同じように歯が透けやすい、または歯の色にムラがある
  • 家族の中で知覚過敏になりやすい人が多い
  • 骨や歯の発育に影響する遺伝的疾患がある
遺伝と環境の相互作用

エナメル質形成不全は、遺伝と環境の両方が関係することが多く、遺伝的にリスクを持っている人が、さらに環境要因(病気や栄養不足など)によって発症しやすくなると考えられています。

そのため、遺伝的要因が疑われる場合は、早めに歯科医院で相談し、適切な予防策を講じることが大切です。



酸蝕症とは?生活習慣が原因で歯が薄くなる病気

酸蝕症とは?食事や生活習慣が関係する歯のトラブル

酸蝕症(さんしょくしょう)とは、酸によって歯のエナメル質が溶けてしまう状態のことを指します。通常、歯は食事のたびに口の中の酸によって溶かされますが、唾液の働きによって再石灰化が行われ、自然に修復されます。しかし、強い酸や頻繁な酸の摂取が続くと、唾液の修復が追いつかず、エナメル質が徐々に溶けて薄くなってしまうのです。

酸蝕症と虫歯の違い
  • 酸蝕症:飲食物や胃酸の影響でエナメル質が溶ける(細菌の関与なし)
  • 虫歯:細菌が産生する酸によってエナメル質が溶ける

酸蝕症は虫歯と違い、細菌の影響を受けずに進行するため、歯磨きをしていても発症することがあります。そのため、普段から食生活や生活習慣に気を配ることが重要です。

酸蝕症の症状
  • 歯の表面がツヤを失い、ザラつく
  • 歯が透けて見えるようになる(半透明のような見た目)
  • 冷たいものや甘いものがしみる(知覚過敏)
  • 歯の形が丸みを帯び、角が削れたように見える

特に前歯の先端や奥歯の咬み合わせ部分が影響を受けやすいため、食事の後に口の中の酸性度をコントロールすることが大切です。

酸蝕症になりやすい人の特徴とは?

酸蝕症は生活習慣と深く関係しているため、特定の食習慣や健康状態がある人は、よりリスクが高くなります。

食習慣によるリスク
  • 酸性の飲み物をよく飲む人:炭酸飲料、スポーツドリンク、果汁100%ジュース、酢ドリンクなどは酸性度が高く、頻繁に飲むと歯が溶けやすくなります。
  • 酸性食品をよく食べる人:柑橘類(レモン、グレープフルーツ)、梅干し、酢の物、ヨーグルトなどの食品を日常的に摂取していると、酸蝕症のリスクが高まります。
  • ダラダラ飲食をする人:酸性の飲み物や食品を長時間にわたって摂取すると、口の中が酸性の状態が続き、エナメル質の溶解が進みやすくなります。
健康状態によるリスク
  • 逆流性食道炎や胃酸逆流がある人:胃酸が頻繁に口の中に逆流すると、強い酸によって歯が溶けやすくなります。
  • 摂食障害(過食・嘔吐)を持っている人:過食嘔吐を繰り返すと、胃酸が口の中に頻繁に触れるため、エナメル質がダメージを受けやすくなります。
  • ドライマウス(口が乾きやすい人):唾液の分泌が少ないと、酸を中和する働きが弱くなり、酸蝕症のリスクが上がります。

歯が溶ける原因となる飲食物と生活習慣

酸蝕症を引き起こす原因には、食べ物や飲み物だけでなく、日常の生活習慣や歯のケアの方法も影響します。

酸蝕症を進行させる飲食物

pHが低い(酸性度が高い)飲食物

  • レモン・グレープフルーツ・梅干し(pH2.0〜3.0)
  • コーラ・スポーツドリンク(pH3.0〜4.0)
  • ワイン・ビール・ヨーグルト(pH3.5〜4.5)

特に、炭酸飲料や果汁100%ジュースはpHが低く、エナメル質を直接溶かすリスクが高いため、頻繁に摂取するのは避けた方が良いでしょう。

悪影響を及ぼす生活習慣
  • 飲み物を長時間口に含む:スポーツドリンクやジュースを少しずつ飲み続けると、口の中が常に酸性に傾き、エナメル質が溶けやすくなります。
  • 酸性の食べ物を摂取した後すぐに歯を磨く:酸によって一時的に柔らかくなったエナメル質を削ってしまうため、30分〜1時間ほど時間を空けてから歯を磨くのが理想的です。
  • 胃酸の逆流を放置する:逆流性食道炎の治療を受けずに放置すると、口腔内の酸性度が慢性的に高まり、酸蝕症が進行しやすくなります。



エナメル質が薄いとどうなる?影響とリスク

知覚過敏になりやすい?冷たいものがしみる原因

エナメル質が薄くなると、知覚過敏のリスクが高まります。通常、エナメル質は歯の内部にある象牙質を保護し、冷たいものや熱いものの刺激を遮断する役割を持っています。しかし、エナメル質が薄くなったり、欠けたりすると、その下の象牙質が露出し、外部の刺激が神経に直接伝わるため、知覚過敏が起こりやすくなります。

知覚過敏が発生するメカニズム
  • エナメル質が薄くなる(摩耗・酸蝕症・エナメル質形成不全などが原因)
  • 象牙質の表面にある「象牙細管」が露出
  • 冷たいもの・熱いもの・甘いものの刺激が象牙細管を通じて神経に伝わる
  • 瞬間的な鋭い痛み(しみる感覚)が発生
知覚過敏が悪化しやすいケース
  • 冷たい飲み物やアイスを食べたときにしみる
  • 熱い飲み物(コーヒー・スープ)を飲むとズキッと痛む
  • 甘いものを口に入れたときにピリッとした痛みを感じる
  • 歯ブラシが触れるだけで痛みを感じる

このような症状が続く場合、エナメル質の薄さが原因で知覚過敏が進行している可能性があるため、早めの対策が必要です。

虫歯リスクの上昇!エナメル質が少ないとどうなるのか?

エナメル質は、歯を守る天然のバリアのような役割を果たしています。そのため、エナメル質が薄くなると、虫歯になりやすい状態になります。

エナメル質が薄いと虫歯リスクが上がる理由
  • エナメル質が酸に弱くなり、簡単に溶ける:通常、エナメル質は酸に強く、虫歯菌の出す酸にも耐えられます。しかし、エナメル質が薄くなると、少しの酸でも簡単に溶けてしまい、虫歯の進行が速くなります。
  • 象牙質が露出し、細菌が侵入しやすくなる:エナメル質が削れると、象牙質がむき出しになります。象牙質はエナメル質よりも柔らかく、細菌が侵入しやすいため、虫歯が発生しやすくなります。
  • 再石灰化が追いつかず、虫歯が進行しやすくなる:通常、唾液に含まれるカルシウムやリン酸がエナメル質を修復(再石灰化)します。しかし、エナメル質が薄い場合、再石灰化のスピードが追いつかず、虫歯が進行しやすくなります。
エナメル質が薄い人が特に注意すべきこと
  • 甘いものや酸性の食べ物を控えめにする(糖分や酸が多いと虫歯のリスクがさらに高まる)
  • フッ素入り歯磨き粉を使い、エナメル質を強化する
  • 虫歯の初期段階で治療を受ける(エナメル質の損失が進むと、詰め物や被せ物が必要になる)

エナメル質が薄いと、一度虫歯になると進行が速いため、予防が非常に重要です。

見た目への影響…歯が黄ばんで見えることも

エナメル質が薄くなると、見た目にも大きな影響が出ることがあります。特に、歯の色が変わったり、光の透過率が高まったりするため、以前よりも歯の印象が変わることがあります。

歯が黄ばんで見える原因
  • 象牙質の色が透ける:エナメル質は本来半透明で、その下にある象牙質は黄みがかった色をしています。エナメル質が薄くなると、象牙質の色がより目立つようになり、歯が黄ばんで見えることがあります。
  • 歯の透明感が増し、先端部分が青白く見える:エナメル質が極端に薄くなると、光の透過率が上がり、歯の先端部分が青白く見えることがあります。これは「歯のガラス化」とも呼ばれ、エナメル質が損傷しているサインです。
  • ステイン(着色汚れ)が沈着しやすくなる:エナメル質が薄いと、歯の表面がざらつきやすくなり、コーヒー・紅茶・ワイン・タバコなどの色素が沈着しやすくなります。結果として、歯の黄ばみがより目立つようになります。
見た目の変化を防ぐための対策
  • ホワイトニングを検討する(ただし、エナメル質が極端に薄い場合は適応外となることがある)
  • 着色しやすい飲み物や食べ物の摂取を控える
  • 歯科医院でのクリーニングを定期的に受ける

エナメル質の厚みは個人差がありますが、薄くなると審美的な問題も発生しやすくなるため、早めのケアが重要です。



酸蝕症の進行段階と初期症状のチェック方法

初期段階:歯の表面がツヤを失うサイン

酸蝕症の初期段階では、歯の表面に目に見えにくい変化が現れます。通常、健康な歯のエナメル質はツヤがあり、滑らかな質感を持っていますが、酸蝕症が進行し始めると、次のような症状が見られるようになります。

初期の症状
  • 歯の表面がマットな質感になる(ツヤがなくなる)
  • 歯の先端部分が半透明または白っぽくなる
  • 軽度の知覚過敏が出ることがある(冷たいものが少ししみる程度)
歯のツヤが失われる原因
  • 酸性の飲食物(炭酸飲料・果汁100%ジュース・酢を含む食品)を頻繁に摂取する
  • 唾液の分泌量が減少し、酸の中和が十分に行われない(ドライマウス)
  • 胃酸の逆流により、口腔内のpHが低下する(逆流性食道炎)

この段階では、まだ歯の構造に大きなダメージはなく、適切なケアを行えば進行を抑えることが可能です。しかし、放置すると次の中期段階へと進行し、より顕著な変化が現れます。

中期段階:歯が透け始め、知覚過敏が発生

酸蝕症が進行すると、エナメル質の溶解が進み、歯の色や質感が変わり始めます。特に、光の透過率が高くなることで、歯が透けて見えることが増えます。

中期の症状
  • 歯の先端部分がより透けやすくなり、青白く見える
  • 歯の表面が柔らかくなり、すり減りやすくなる
  • 知覚過敏が悪化し、冷たいものだけでなく熱いものや甘いものもしみる
歯が透ける原因
  • エナメル質が薄くなると、その下にある象牙質が透けて見えるようになる
  • 象牙質は黄みがかった色をしているため、エナメル質が溶けると歯が黄ばみやすくなる
知覚過敏が強くなる理由
  • エナメル質が削れ、象牙細管が露出することで刺激が神経に直接伝わる
  • 酸の影響で歯の構造が脆くなり、歯ブラシの摩擦だけでも痛みを感じることがある
  • 唾液のバリア機能が低下し、酸の影響を受けやすくなる

この段階になると、セルフケアだけで進行を止めるのは難しくなるため、歯科医院での診察が必要です。

進行した場合:歯がもろくなり、かけやすくなる

酸蝕症がさらに進行すると、エナメル質の大部分が溶け、歯の耐久性が著しく低下します。ここまで進行すると、見た目だけでなく、歯の機能にも深刻な影響を及ぼします。

進行した酸蝕症の症状
  • 歯が短くなったように見える(噛み合わせの変化)
  • 歯の表面がデコボコになり、凹凸が目立つ
  • 歯の先端や側面が欠けやすくなる
歯が欠けやすくなる理由
  • 酸によってエナメル質が極端に薄くなり、少しの力で割れたり欠けたりしやすくなる
  • 咬合力(噛む力)が特定の部分に集中し、もろくなった部分が破損しやすくなる
  • 噛み合わせの変化によって歯に余計な負担がかかる

この段階に至ると、歯のダメージは修復できず、詰め物や被せ物などの補綴治療が必要になるケースが多くなります。特に前歯が影響を受けると、審美的な問題が大きくなるため、早めの治療が推奨されます。



自分でできる!エナメル質を守るための予防法

食生活の見直し!酸性食品の摂取を減らす方法

酸蝕症の主な原因の一つは、日常的な食生活です。特に、酸性度の高い食品や飲み物を頻繁に摂取することが、エナメル質の溶解を加速させる要因となります。そのため、食生活を見直し、酸性食品の摂取を適切に管理することが重要です。

酸蝕症を引き起こしやすい食品と飲み物
  • 炭酸飲料(コーラ・エナジードリンク・スポーツドリンク)
  • 果汁100%ジュース(オレンジジュース・グレープフルーツジュース)
  • 柑橘類(レモン・みかん・グレープフルーツ)
  • ワイン・ビールなどのアルコール類
  • 酢を含む食品(ピクルス・酢漬け・梅干し)
食事中・食後に気をつけるポイント
  • 酸性食品を摂取するタイミングを工夫する
    • 酸性食品を食べる際は、食事の一部として摂取し、単独で食べないようにする。
    • 例えば、レモン水を飲む場合は、食事と一緒に飲むことで酸の影響を和らげることができる。
  • 食後すぐに歯を磨かない
    • 酸性食品を摂取した直後はエナメル質が一時的に柔らかくなっているため、すぐに歯を磨くとダメージを与える可能性がある。
    • 最低30分~1時間待ってから歯を磨くのが理想的。
  • 酸を中和する食品を取り入れる
    • 牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品は、カルシウムを多く含み、酸の影響を和らげる効果がある。
    • ナッツ類や生野菜も、咀嚼を促し唾液の分泌を活性化させるため、酸の中和に役立つ。

正しい歯磨き習慣でエナメル質を守るコツ

エナメル質を守るためには、適切な歯磨き習慣を身につけることが不可欠です。しかし、間違った方法で歯を磨くと、かえってエナメル質を傷つけることもあるため注意が必要です。

エナメル質を守る歯磨きのポイント
  • フッ素配合の歯磨き粉を使用する
    • フッ素にはエナメル質を強化し、酸による溶解を抑える効果がある。
    • フッ素濃度1450ppmの歯磨き粉を使用すると効果的(大人の場合)。
  • ゴシゴシ磨かず、やさしく磨く
    • 強い力で歯を磨くと、エナメル質が削れやすくなるため、軽い力で小刻みにブラッシングすることが大切。
    • 電動歯ブラシを使う場合は、過度な圧力をかけずに使用することを心がける。
  • 研磨剤が少ない歯磨き粉を選ぶ
    • 研磨剤が多く含まれた歯磨き粉は、エナメル質を削ってしまう可能性がある。
    • 「低研磨」「知覚過敏用」と記載された歯磨き粉を選ぶと良い。
  • 寝る前の歯磨きを徹底する
    • 就寝中は唾液の分泌が減少し、口腔内の酸性度が高まりやすくなるため、寝る前の歯磨きを丁寧に行うことが重要。

フッ素やミネラルでエナメル質を補強する方法

エナメル質は一度削れると再生することができませんが、フッ素やミネラルを補給することで強化し、酸のダメージを受けにくくすることが可能です。

フッ素によるエナメル質の強化
  • フッ素は、歯の表面を強化し、酸による溶解を防ぐ作用があるため、酸蝕症の予防には欠かせません。
  • フッ素配合の歯磨き粉を使用する
    • 1450ppmのフッ素を含む歯磨き粉を使用し、1日2回以上のブラッシングを行う。
    • 歯磨き後は、うがいを少なめ(1回程度)にしてフッ素を歯に残すと効果的。
  • フッ素洗口液を活用する
    • フッ素洗口液(0.05% NaF)を寝る前に使用すると、就寝中の酸の影響を受けにくくなる。
  • 歯科医院でフッ素塗布を受ける
    • 高濃度フッ素(9000ppm以上)を塗布することで、エナメル質をより強化できる。
    • 定期的に(3~6ヶ月ごと)受けると、より効果が持続する。
ミネラル(カルシウム・リン)による補強
  • エナメル質の強化には、カルシウムやリンといったミネラルの補給も重要です。
  • 食事から摂取する
    • 乳製品(チーズ・ヨーグルト・牛乳)や魚(小魚・ししゃも)**は、カルシウムを多く含み、エナメル質の強化に役立つ。
  • MIペーストを使用する
    • MIペースト(CPP-ACP)は、歯に必要なカルシウムやリンを補給することができる。
    • 特に、酸蝕症の初期段階では、MIペーストを継続的に使用することで、エナメル質の修復を促すことができる。
  • キシリトールガムを噛む
    • キシリトールは唾液の分泌を促し、口腔内のpHを中性に戻す働きがある。
    • 1日3回以上キシリトールガムを噛むことで、酸によるダメージを軽減できる。



酸蝕症を防ぐために気をつけたい生活習慣

ジュースやスポーツドリンクの飲み方に注意

酸蝕症の主な原因の一つは、酸性の飲み物を頻繁に摂取することです。特に、ジュースやスポーツドリンクはpHが低く、エナメル質を溶かしやすいため、飲み方を工夫することが重要です。

酸蝕症のリスクが高い飲み物
  • 炭酸飲料(コーラ、エナジードリンク)
  • 果汁100%ジュース(オレンジジュース、グレープフルーツジュース)
  • スポーツドリンク(アイソトニック飲料、経口補水液)
  • ワインやビールなどのアルコール類
飲み方のポイント
  • ストローを使う
    • 直接歯に触れる時間を短縮できるため、ストローを使用すると酸蝕症のリスクを軽減できる。
  • 飲み物を長時間口に含まない
    • ゆっくり飲むと口の中が酸性状態のまま長く続き、エナメル質が溶けやすくなる。
    • 短時間で飲み終える方が歯の負担を減らせる。
  • 水やお茶を一緒に飲む
    • 酸性の飲み物を飲んだ後は、水や無糖のお茶を飲んで口の中を中和することが効果的。

酸性食品を食べた後の正しい口腔ケアとは?

酸蝕症の進行を防ぐためには、食後の口腔ケアを適切に行うことが大切です。しかし、誤ったケアをすると、かえってエナメル質にダメージを与えてしまうこともあります。

酸性食品を食べた後に注意すべきこと
  • すぐに歯を磨かない
    • 酸性の食品や飲み物を摂取した直後は、エナメル質が一時的に柔らかくなっているため、すぐに歯を磨くと歯の表面を削ってしまう可能性がある。
    • 食後30分~1時間は歯磨きを控えるのが理想的。
  • 水で口をすすぐ
    • 食後すぐに歯を磨けない場合は、水やお茶で口をすすぐことで、口の中の酸を薄め、エナメル質を守ることができる。
  • キシリトールガムを噛む
    • キシリトールは唾液の分泌を促進し、酸性に傾いた口腔内を中和する効果がある。
    • 食後にキシリトールガムを噛むことで、酸蝕症のリスクを軽減できる。

口の中の酸性度をコントロールする工夫

酸蝕症を予防するためには、口の中の酸性度(pH)を適切に管理し、エナメル質が溶ける環境を作らないことが重要です。

口腔内のpHを安定させる方法
  • 唾液の分泌を促す
    • 唾液は口の中の酸を中和し、エナメル質を修復する作用があるため、唾液の分泌を促す習慣を取り入れることが大切。
    • しっかり噛むことで唾液の分泌が増えるため、よく噛んで食べることが重要。
  • 間食を控え、食事の回数を適切に管理する
    • ダラダラと食べ続けると、口の中が長時間酸性に傾きやすくなるため、食事の時間を決めて摂取することが推奨される。
    • 特に、甘いお菓子やジュースを頻繁に摂取することは避ける。
  • アルカリ性の食品を取り入れる
    • 酸性食品の影響を抑えるために、アルカリ性の食品を一緒に摂取すると口腔内のpHバランスを整えやすくなる。
アルカリ性食品の例
  • 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)
  • ナッツ類(アーモンド、クルミ)
  • 野菜(ほうれん草、ブロッコリー)

このような工夫を取り入れることで、口の中の酸性度をコントロールし、エナメル質の損傷を防ぐことができます。



歯科医院でできるエナメル質形成不全・酸蝕症の治療

コーティング治療で歯を保護する方法

エナメル質形成不全や酸蝕症の初期段階では、歯の表面をコーティングすることでエナメル質を保護し、知覚過敏や酸によるダメージを防ぐことが可能です。コーティング治療にはいくつかの方法があり、歯の状態に合わせた適切な処置が選ばれます。

フッ素塗布
  • 高濃度フッ素(9000ppm以上)を歯の表面に塗布することで、エナメル質を強化し、酸に溶けにくくする。
  • 特に酸蝕症が進行している場合、定期的(3〜6ヶ月ごと)に塗布することで予防効果が高まる。
シーラント処置
  • 歯の表面にプラスチック製のシーラントをコーティングし、酸の影響を受けにくくする方法。
  • 奥歯の溝や歯の先端部分が特に摩耗しやすい場合に有効。
レジンコーティング
  • フッ素入りの特殊なレジン(樹脂)を歯の表面に薄く塗布し、エナメル質を補強する。
  • 知覚過敏の症状がある場合や、エナメル質の損傷が軽度な場合に適している。

ホワイトスポットが気になる場合の審美的アプローチ

エナメル質形成不全では、歯の表面に白い斑点(ホワイトスポット)ができることがあり、審美的な影響を気にする人も多いです。このホワイトスポットを改善するための治療方法には、いくつかの選択肢があります。

アイコン(ICON)治療
  • レジンを浸透させてホワイトスポットを目立たなくする治療法。
  • 歯を削らずに施術できるため、エナメル質を削るリスクがないのがメリット。
MIペースト(CPP-ACP)を使用した再石灰化治療
  • カルシウムやリン酸を含むMIペーストを使用し、ホワイトスポット部分のエナメル質を修復する。
  • 定期的な使用で徐々にホワイトスポットを目立たなくする。
ラミネートベニア
  • エナメル質の表面を薄く削り、セラミックの薄い板を貼り付ける審美治療。
  • ホワイトスポットの範囲が広い場合や、エナメル質の損傷が進行している場合に適用される。

進行が進んだ場合の詰め物・被せ物治療

エナメル質形成不全や酸蝕症が進行し、歯の表面が大きく摩耗したり、知覚過敏が強くなったりした場合には、詰め物や被せ物を用いた治療が必要になることがあります。

コンポジットレジン修復
  • エナメル質の摩耗が部分的な場合、コンポジットレジン(歯科用樹脂)を使って欠損部分を修復する。
  • 比較的簡単な処置で済み、見た目も自然に仕上がる。
セラミックインレー・クラウン
  • エナメル質の損傷が大きく、噛み合わせに影響が出る場合には、セラミックの詰め物や被せ物を使用する。
  • 耐久性が高く、酸による影響を受けにくいため、長期的な保護に適している。
フルカバークラウン(被せ物)
  • エナメル質が広範囲に失われ、歯がもろくなっている場合に、クラウン(被せ物)で歯全体を保護する。
  • 金属やセラミックの素材を選択できるが、審美性を重視する場合はセラミッククラウンが推奨される。



よくある質問Q&A

「エナメル質形成不全は自然に治るの?」

エナメル質形成不全は、生まれつきエナメル質が正常に発達しない状態であり、自然に回復することはありません。エナメル質は再生能力を持たないため、一度形成されたエナメル質の損傷や異常は元に戻ることがないのが特徴です。

エナメル質形成不全の影響を軽減する方法
  • フッ素塗布を定期的に受ける: フッ素にはエナメル質を強化する効果があり、歯の表面を補強して酸や摩耗から守ることができる。
  • MIペースト(CPP-ACP)を使用する: カルシウムやリン酸を含むMIペーストを使用すると、エナメル質のミネラル成分を補い、ホワイトスポットや弱くなった部分を補強する効果が期待できる。
  • レジンコーティングやシーラントで歯を保護する: 初期の段階であれば、歯科医院でレジンコーティングを行い、エナメル質をカバーすることで、知覚過敏や摩耗のリスクを軽減できる。
  • 進行した場合は詰め物や被せ物を検討: エナメル質の欠損が大きくなった場合、詰め物(コンポジットレジン)や被せ物(セラミッククラウン)で補修する治療が必要になることがある。

「酸蝕症はどんな年齢層に多い?」

酸蝕症は子どもから大人まで幅広い年齢層で発症する可能性があるが、特に以下のようなグループでリスクが高い。

子どもや若年層の場合
  • ジュースや炭酸飲料を頻繁に飲む習慣がある
  • 酸性の食べ物(レモン・梅干しなど)を好んで摂取する
  • エナメル質が未成熟であり、酸に対する耐性が低い
20代~40代の成人の場合
  • 仕事中や運動時にスポーツドリンクを頻繁に飲む
  • ワインやビールなどの酸性飲料の摂取が多い
  • ストレスや生活習慣の乱れにより、胃酸の逆流(逆流性食道炎)のリスクがある
50代以降の高齢者の場合
  • 加齢によりエナメル質が自然に摩耗しているため、酸の影響を受けやすい
  • 唾液の分泌量が減少し、酸を中和する力が低下する(ドライマウス)
  • 過去の歯の治療歴が多く、詰め物や被せ物の隙間から酸蝕症が進行する可能性がある

酸蝕症は、どの年齢層でも生活習慣や食生活の影響を受けるため、定期的な歯科検診で早期発見・早期対策を行うことが重要。

「エナメル質が弱い人におすすめの歯磨き粉は?」

エナメル質が薄い、または弱いと感じる場合は、酸蝕症や知覚過敏を予防するために適切な歯磨き粉を選ぶことが大切。

おすすめの成分を含む歯磨き粉
  • フッ素(1450ppm以上): エナメル質の再石灰化を促進し、酸への耐性を向上させる。「酸蝕歯ケア用」や「フッ素高濃度配合」と記載された製品を選ぶと良い。
  • ナノハイドロキシアパタイト: エナメル質の成分と同じ構造を持ち、歯の表面の微細な傷を修復する効果がある。「歯の修復」「エナメル質ケア」と書かれた製品に含まれることが多い。
  • 硝酸カリウムやシュウ酸カリウム: 知覚過敏の症状を和らげる効果があるため、冷たいものや熱いものがしみる場合に適している。「知覚過敏ケア用」の歯磨き粉に含まれていることが多い。
  • 低研磨性(RDA値が低いもの): 研磨剤が多い歯磨き粉を使用すると、エナメル質がさらに削れるリスクがあるため、「低研磨」と記載された製品を選ぶ。
避けるべき歯磨き粉の特徴
  • 強い研磨剤を含むもの(RDA値が高いもの)
  • ホワイトニング効果が強すぎるもの(研磨成分が多い)
  • 酸性の成分を含むもの(クエン酸など)

適切な歯磨き粉を選び、正しいブラッシング方法でケアをすることで、エナメル質を守りながら健康な歯を維持することが可能。



まとめ:歯の健康を守るために今からできること

エナメル質形成不全や酸蝕症は早期発見・早期治療が大切

エナメル質形成不全や酸蝕症は、初期段階で適切なケアを行えば進行を抑えることが可能です。しかし、放置するとエナメル質がさらに薄くなり、知覚過敏や虫歯のリスクが高まります。特に、エナメル質は一度失われると再生しないため、早めの対応が重要です。

早期発見のポイント
  • 歯の色や透明感の変化に注意する: 歯が透けて見える、または白い斑点(ホワイトスポット)が出てきた場合、エナメル質の異常が疑われる。
  • 知覚過敏の症状が出たらすぐに対策をする: 冷たいものや熱いものがしみる場合は、エナメル質が薄くなっている可能性が高いため、早めに歯科医院で相談する。
  • 歯の摩耗やすり減りをチェックする: 歯ぎしりや食いしばりの習慣がある人は、エナメル質が徐々に削れやすいため、定期的に歯科検診を受ける。
早期治療のメリット
  • エナメル質を保護する処置(フッ素塗布・レジンコーティング)を受けられる
  • 知覚過敏や虫歯のリスクを最小限に抑えられる
  • 審美的な問題(ホワイトスポットや黄ばみ)を改善しやすくなる

毎日のケアと生活習慣の見直しで進行を防ぐ

エナメル質形成不全や酸蝕症の進行を防ぐためには、日常生活での予防が欠かせません。毎日のケアや食生活を工夫することで、エナメル質を守ることができます。

効果的なセルフケア
  • フッ素入り歯磨き粉を使用する: エナメル質を強化し、酸による溶解を防ぐ効果がある。
  • 酸性の食品・飲み物を控える: 炭酸飲料や柑橘類の摂取を減らし、酸蝕症のリスクを軽減する。
  • 食後すぐに歯を磨かない: 酸性の飲食物を摂取した後は30分〜1時間待ってから歯を磨く。
  • 唾液の分泌を促進する: よく噛んで食べる、キシリトールガムを活用することで、口腔内のpHバランスを整える。
生活習慣の見直し
  • ストローを使って酸性飲料の影響を軽減する
  • 間食の回数を減らし、口腔内の酸性環境を最小限に抑える
  • ストレスを管理し、歯ぎしりや食いしばりを予防する

定期的な歯科検診でしっかり予防しよう

エナメル質形成不全や酸蝕症は、初期段階では自覚症状が少ないため、定期的な歯科検診が非常に重要です。

歯科医院でできる予防・治療
  • フッ素塗布やシーラントでエナメル質を強化
  • 知覚過敏や摩耗の進行を早期に発見し、適切な処置を受ける
  • 酸蝕症が進行している場合は、レジンやセラミックで補修する

定期検診を受けることで、エナメル質の状態をチェックし、必要な治療を受けることができるため、将来的な歯の健康を守るために欠かせない。

監修:広尾麻布歯科
所在地〒:東京都渋谷区広尾5-13-6 1階
電話番号☎:03-5422-6868

*監修者
広尾麻布歯科
ドクター 安達 英一
*出身大学
日本大学歯学部
*経歴
日本大学歯学部付属歯科病院 勤務
東京都式根島歯科診療所 勤務
長崎県澤本歯科医院 勤務
医療法人社団東杏会丸ビル歯科 勤務
愛育クリニック麻布歯科ユニット 開設
愛育幼稚園 校医
愛育養護学校 校医
・青山一丁目麻布歯科 開設
・区立西麻布保育園 園医
*所属
日本歯科医師会
東京都歯科医師会
東京都港区麻布赤坂歯科医師会
日本歯周病学会
日本小児歯科学会
日本歯科審美学会
日本口腔インプラント学会

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