「冷たいものでしみる」を、放置していませんか

「痛くないからまだ大丈夫」が危ない理由
しみる感覚があっても激しい痛みを伴わない段階では、虫歯はすでにエナメル質の内側にある象牙質(ぞうげしつ)に達している可能性があります。象牙質には神経につながる細い管が無数に走っており、冷たい刺激がその管を通して神経に伝わることで「しみる」という感覚が生じます。
痛みが弱いのは神経がまだ直接ダメージを受けていないからであって、虫歯の進行が止まっているわけではありません。「痛くないから大丈夫」という判断は、歯の構造的な観点から見ると根拠になりにくいのです。むしろ、しみる段階こそが「神経への感染が始まる手前」という、治療の選択肢が最も多い時期と考えられています。
しみる症状を先延ばしにしやすい3つの心理
受診を後回しにしてしまう背景には、いくつかの共通したパターンがあります。1つ目は「症状が一定でない」こと。冷たいものを飲んだときだけしみる、という状態は日常生活を大きく妨げないため、緊急性を感じにくくなります。2つ目は「忙しさによる先送り」です。仕事の合間に歯科の予約を入れることへのハードルが、受診を遅らせる要因になりがちです。
3つ目は「様子を見れば治るかもしれない」という期待感です。しみる症状が一時的に和らぐことがあるため、自然回復を期待して待ってしまうケースがあります。ただし、痛みが治まる理由が「神経が症状を感じなくなるほど傷んでいる」場合もあり、症状の消失を回復のサインと単純に解釈できないことがあります。
放置期間が長いほど治療の選択肢が狭まる現実
虫歯の治療内容は、進行段階によって大きく変わります。象牙質に達したしみる段階(C2相当)では、虫歯部分を削ってつめる処置が中心になる場合が多く、通院回数も比較的少なく済む傾向があります。ところが、細菌感染が歯の内部にある歯髄(しずい:歯の神経と血管の集まり)にまで届くと、神経を除去する根管治療(こんかんちりょう)が必要になります。
根管治療は歯の内部を丁寧に清掃する処置であり、歯を残すために有効な方法ですが、しみる段階での治療と比べると通院回数や身体的な負担は増える傾向があります。さらに感染が歯根の先端周囲にまで広がると、歯を保存すること自体が難しくなるケースも出てきます。1〜2ヶ月の間にも歯の内部では変化が続いているため、「もう少ししたら受診しよう」という判断の積み重ねが、治療の複雑さに影響することがあります。
奥歯がしみる原因と、虫歯の進行ステージ

しみる感覚が生じる歯の構造的な理由
冷たいものを口に含んだときに奥歯がしみるのは、歯の表面を覆うエナメル質の内側にある象牙質(ぞうげしつ)が、外部の刺激を神経へ伝えてしまうために起こります。エナメル質は刺激をほとんど通さない硬い組織ですが、虫歯が進行してエナメル質が溶かされると、その下の象牙質が露出し始めます。
象牙質には「象牙細管(ぞうげさいかん)」と呼ばれる無数の微細な管が走っており、この管を通じて温度変化や浸透圧の変化が歯髄(しずい:歯の中心にある神経・血管の集合体)へ届きます。これがしみるという感覚の正体です。エナメル質が健全なうちは起こらない反応であるため、しみる症状はすでに虫歯がある程度進行しているサインと考えられます。
奥歯は歯の溝が深く、プラーク(歯垢)が蓄積しやすい構造を持っています。そのため前歯と比べてエナメル質が溶かされる速度が速く、象牙質への到達も早い傾向があります。
C0〜C4の虫歯ステージと症状の変化
虫歯の進行度は一般的にC0からC4の5段階で分類されます。C0は脱灰(エナメル質の表面が酸で溶け始めた状態)で自覚症状はなく、フッ素塗布などのケアで回復が見込めるケースもあります。C1はエナメル質に穴が開き始めた段階で、まだしみる症状は出ないことが多いです。
冷たいものでしみるという感覚が現れるのは主にC2の段階で、虫歯が象牙質まで達した状態を指します。この段階では甘いものや冷たいもので鋭い刺激を感じやすくなります。C3になると虫歯が歯髄に到達し、自発痛(何もしなくても痛む状態)が現れることがあります。C4は歯冠部分がほぼ崩壊し、根だけが残る状態です。
「しみるけど我慢できる」という状態はC2に相当することが多く、この段階で受診すれば神経を残せる可能性があります。C3以降になると治療の侵襲度が大きく変わるため、しみる症状の段階で状態を把握しておくことが選択肢を広げます。
奥歯に虫歯が多い理由と見えにくいリスク
奥歯(大臼歯・小臼歯)に虫歯が集中しやすいのは、歯の形状と清掃のしにくさが組み合わさっているためです。奥歯の咬合面(かみ合わせ面)には深い溝があり、歯ブラシの毛先が届きにくい構造になっています。食べ物のカスやプラークが溜まりやすく、酸を産生する細菌が長時間留まりやすい環境です。
加えて、奥歯は口の奥に位置するため、自分で鏡を見ても虫歯の初期変化を確認しにくいという問題があります。歯と歯の間(隣接面)にできる虫歯は特に視認が困難で、歯科用のレントゲン検査ではじめて発見されるケースも少なくありません。痛みが出るまで気づけないまま進行していた、というのはこの部位では珍しくない経過です。
また、詰め物や被せ物の縁の部分から虫歯が再発する「二次虫歯」も奥歯では起こりやすく、補綴物に覆われた内側で進行しているため自覚症状が出にくい点が、発見を遅らせる要因の一つになっています。
放置するとどうなるか——歯髄炎への進行プロセス

しみる段階(C2)から歯髄炎(C3)へ移行する流れ
冷たいものでしみる感覚は、虫歯が象牙質(エナメル質の内側にある層)まで達したC2の段階で現れることが多く、この時点ではまだ神経そのものへの感染は起きていないケースがほとんどです。問題は、この状態を長期間そのままにしておくと、細菌が象牙質の細管を通って歯髄(しずい:歯の内部にある神経と血管の組織)へ向かう経路が広がっていく点にあります。
象牙質とは異なり、歯髄は閉じた空間に収まっているため、炎症が起きると内圧が高まりやすい構造です。C2の段階では「刺激を与えたときだけしみる」という反応が主ですが、歯髄への感染が始まると、刺激がなくても痛みが出る「自発痛」の状態へと変化していきます。「しみるだけで痛みはない」という状況は、歯髄炎の手前に位置していることを示している場合があります。
歯髄炎が引き起こす自発痛・夜間痛の特徴
歯髄炎(しずいえん)に移行すると、それまでの「冷たいものでしみる」という感覚から、じっとしていても痛む自発痛へと症状の性質が変わります。特に夜間に痛みが強くなる傾向があるのは、横になることで頭部への血流が増し、閉じた歯髄内の圧力がさらに高まるためと考えられています。
もう1つ見落としやすいのが「温かいものでかえって痛む」という変化です。初期のC2では冷たいものに反応しやすいのに対し、歯髄炎が進んだ状態では温度刺激の中でも熱い・温かいものへの反応が強まることがあります。痛みの質がこのように変化してきた場合、歯髄内で炎症が本格化しているサインと読み取ることができます。歯髄炎の状態が一定以上進行すると、炎症を抑えるだけでは元の状態には戻れなくなり、神経を除去する処置(抜髄)が治療の選択肢に入ってきます。
歯髄炎を超えて根尖病巣へ至るさらなる進行
歯髄炎の段階でも処置を行わないままでいると、歯髄内の組織が壊死(えし)し、細菌が歯根の先端(根尖)を越えて顎の骨へと感染を拡大させることがあります。この状態を根尖病巣(こんせんびょうそう)と呼び、根の先に膿が溜まった袋(膿瘍や嚢胞)が形成されるケースへと移行します。
根尖病巣の段階になると、歯そのものの問題だけでなく、周囲の骨組織や隣接する歯への影響も考慮しなければならなくなります。歯ぐきが腫れる、噛んだときに強い痛みが走る、顔が腫れるといった症状が現れることもあります。感染が顎骨の広い範囲に及んだ場合には、根管治療(歯の内部を清掃・消毒する治療)を行っても歯を保存できる条件が限られてしまい、抜歯を検討せざるを得なくなる状況につながります。「しみるだけ」の状態から始まった変化が、歯を取り巻く骨の状態にまで波及するという進行の流れを理解しておくことは、受診のタイミングを判断する上で重要な視点です。
歯科医が「神経を抜く」と判断する基準

歯髄の感染範囲と可逆性・不可逆性の見極め
歯科医が抜髄(ばつずい:神経を除去する処置)を判断する際にまず確認するのは、歯髄(しずい:歯の内部にある神経・血管の組織)への感染が「元に戻れる状態か、戻れない状態か」という点です。この2つは医学的に「可逆性歯髄炎」と「不可逆性歯髄炎」と呼ばれ、治療の方向性がまったく異なります。
可逆性の段階では、虫歯を取り除いて適切な処置を行えば、歯髄が炎症前の状態に落ち着く見込みがあります。一方、不可逆性と判断された場合は、歯髄内の感染や壊死が進んでいるため、組織を除去して根管を清掃する処置(抜髄)へ移行することになります。この見極めは症状の性質に基づいて行われます。たとえば、冷たい刺激が取り除かれた後もしみる感覚が30秒以上持続するかどうかは、可逆性・不可逆性を区別する臨床的な手がかりの一つとされています。
CT・レントゲンで確認する根尖周囲の変化
歯髄炎がさらに進行しているかどうかを判断する上で、根尖(こんせん:歯根の先端部分)周囲に異常な影が生じていないかを画像で確認することは重要な診断ステップです。レントゲンでは歯と周囲の骨の状態を平面的に把握できますが、根管の形態が複雑な場合や病変の範囲を立体的に評価したい場合には、歯科用CTを用いた精査が診断精度を高める選択肢となります。
根尖の周囲に透過像(骨が吸収された部分が画像上で黒く見える変化)が確認された場合、感染が根の先端付近にまで波及している状態、いわゆる根尖病巣(こんせんびょうそう)の形成が疑われます。この段階では歯髄がすでに生活反応を失っている(壊死している)ケースも多く、神経を残せる段階を超えていると判断されます。画像診断は症状の訴えだけでは見えない変化を客観的に示す材料であり、治療方針の根拠になります。
抜髄治療が避けられなくなるサインとは
「神経を抜く処置が避けられない」と歯科医が判断する背景には、症状・検査・画像の複数の情報が重なっています。自発痛(何もしていなくても痛む)が出現している状態、夜間に痛みで目が覚める状態、歯肉に膿(うみ)の出口となる膨らみ(フィステル)が生じている状態——これらは歯髄が修復不可能なレベルで侵されているサインとして扱われます。
「しみるだけだったのに、なぜ神経を抜くのか」と驚かれる患者さんもいますが、しみる段階から自発痛の段階への移行は、細菌の感染が歯髄深部に到達したことを示します。感染した歯髄組織を残したまま経過観察を続けることは、根尖への感染拡大を招くため、歯科的にはリスクが高い選択です。こうした状態で抜髄治療が計画される場合、根管内を清潔に保つためのラバーダム(防湿のためのシート状器具)を用いた処置が行われるのが一般的です。
根管治療から抜歯になる重度虫歯の現実

根管治療(歯内療法)でも歯を残せる条件
根管治療(こんかんちりょう:歯の根の内部を清掃・消毒する治療)によって歯を残せるかどうかは、歯根の構造的な健全性と、周囲の骨がどこまで保たれているかによって大きく左右されます。根の内部に感染が広がっていても、歯根そのものが割れておらず、骨の支持がある程度残っていれば、根管内を丁寧に清掃・消毒したうえでかぶせ物を装着し、機能を取り戻せる場合があります。
治療の成否に影響するもう一つの要素が、根管の形態の複雑さです。奥歯の根管は複数あり、曲がりや分岐を伴うことも珍しくありません。CT(コンピュータ断層撮影)を用いて根管の立体的な形態を把握したうえで治療計画を立てることが、精度を高めるうえで有効とされています。広尾麻布歯科では、CTによる診断と根管治療に対応しており、こうした複雑な形態へのアプローチを検討することが可能です。
歯を残すことが困難になる3つの状態
根管治療を経ても、抜歯という判断に至るケースには主に3つの状態が関係しています。1つ目は歯根破折(しこんはせつ)です。根が縦に割れた状態では、歯の内部への細菌の侵入を防ぐことが構造的に難しく、保存治療の効果が期待しにくいとされています。
2つ目は、虫歯の進行が歯肉の縁より深くまで達している状態です。かぶせ物を安定して装着するための歯質が不足すると、補綴(ほてつ:歯の欠損を補う治療)として機能させることが難しくなります。3つ目は、根尖(こんせん:根の先端)に広範な炎症や骨の吸収が認められるケースで、感染が周囲組織に深く波及している場合には根管治療だけでは対処が難しいことがあります。これらの状態が重なるほど、保存の選択肢は限られていきます。
抜歯後の選択肢——インプラント・入れ歯・補綴の概要
抜歯後の奥歯をそのままにしておくと、隣接する歯が傾いたり、噛み合わせのバランスが変化したりすることが知られています。欠損部の補い方としては、インプラント、入れ歯(義歯)、ブリッジという3つの方向性が一般的です。それぞれ適応条件や治療期間、費用の幅が異なります。
インプラントは顎の骨に人工歯根を埋入する方法で、隣の歯を削らずに済む点が特徴として挙げられます。入れ歯は取り外し可能な装置で、骨量や全身状態にかかわらず選択肢になることが多い治療です。ブリッジは両隣の歯を支台として固定する補綴で、手術を伴わない点が異なります。広尾麻布歯科ではインプラント治療および入れ歯・補綴治療に対応しており、抜歯後の状況に応じた選択肢を相談することができます。どの方法が適しているかは、骨の量や残存歯の状態、生活習慣なども含めた診査をもとに判断されます。
早期受診で変わる治療の選択肢と負担の差

C2段階で受診した場合の治療内容と回数の目安
しみる症状が出始めたC2(象牙質まで虫歯が到達した段階)のうちに受診できれば、神経を残したまま虫歯の部分だけを削り、詰め物で修復する処置で対応できるケースが多いとされています。治療回数も1〜3回程度に収まることが一般的で、仕事が忙しい方でも通院スケジュールを組みやすい範囲です。
使用する詰め物の素材は歯の状態や欠損の大きさによって異なりますが、コンポジットレジン(歯科用樹脂)による修復や、インレー(はめ込み式の詰め物)による対応が選択肢として挙がることが多いです。いずれも歯の形態を回復させることを主眼にした処置であり、神経への影響がない分、治療後の経過も比較的安定しやすいと考えられています。
「しみるけれど痛みは強くない」という段階がこのC2に相当することが多く、その期間がまさに治療の選択肢が最も広い時期にあたります。症状が軽いほど1回あたりの処置時間も短く済む傾向があり、通院の心理的・時間的な負担を最小限に抑えられる点で、この段階での受診は治療コース全体の負担を大きく左右します。
歯髄炎・根管治療に至った場合の通院期間の変化
歯髄炎(しずいえん:歯の内部にある神経・血管組織が炎症を起こした状態)が発症し、根管治療(こんかんちりょう:歯の根の内部を清掃・無菌化する処置)が必要になると、治療の規模は大きく変わります。根管内の感染組織を丁寧に除去し、消毒と充填を繰り返す工程が必要なため、通院回数は3〜6回以上になることがあります。
奥歯は前歯に比べて根管の数が多く、形状も複雑なケースが少なくありません。そのため処置ごとに丁寧な確認が求められ、1回の治療時間も長くなる傾向があります。根管治療が完了した後も、被せ物(クラウン)を作製・装着するための工程が別途発生するため、トータルの通院期間はC2段階と比べると相応に長くなります。
加えて、根管治療後の歯は内部が空洞化した状態になるため、クラウンで覆う補綴(ほてつ)処置が欠かせません。C2で修復した歯と比較すると、歯にかかる負担の大きさも通院ステップの数も、明確に増加するという現実があります。
早期治療が長期的なコストと歯の寿命に与える影響
C2の段階での対応と根管治療後の補綴処置では、費用の規模が大きく異なります。詰め物で修復できるC2の処置は保険適用内で収まることが多い一方、根管治療から被せ物までの一連の処置は、材料や歯の状態によって費用幅が広がる傾向があります。セラミックや金属床などの補綴素材を選択する場合は、さらに費用が増す場合があります。
歯の寿命という観点でも、神経を除去した歯は血流供給が失われるため、歯質がもろくなりやすいという特性があります。被せ物で保護しても、咬合力(かみ合わせの力)によるひびや破折のリスクが、神経のある歯と比べると高くなる場合があるとされています。長期的に歯を機能させ続けるうえで、神経を残せるかどうかは重要な分岐点です。
「まだしみるだけだから」という判断が、数年後に補綴やさらなる処置の必要性として返ってくることがあります。治療の選択肢を最大化できるのは、症状が軽いうちに状態を確認した時点であり、その判断が歯の残存期間とその後の治療負担を大きく左右します。
重度虫歯・歯髄炎でよくある疑問に答えるFAQ

「しみるのが自然に治まったら大丈夫?」の答え
しみる症状が突然消えた場合、それは改善のサインではなく、歯髄(歯の神経組織)が壊死しつつある可能性を示していることがあります。虫歯が象牙質を越えて歯髄に近づくにつれ、神経は強い刺激に反応してしみる感覚を起こします。ところが、感染が深部まで広がると神経細胞そのものが機能しなくなり、刺激への反応が失われるのです。
痛みやしみる感覚がなくなった状態を「治った」と解釈してそのまま放置すると、歯髄の壊死が進み、根の先端に膿の袋(根尖病巣)が形成されるリスクがあります。症状がなくなったタイミングこそ、歯科での状態確認が求められる場面と言えるでしょう。
「根管治療は痛い」という不安への正直な回答
根管治療(歯の根の内部の感染を取り除く治療)が「痛い」というイメージは、麻酔技術が現在ほど発達していなかった時代の経験に基づくものが多く、現在の治療環境とは大きく異なります。局所麻酔を適切に行うことで、処置中の痛みを大幅に軽減することが可能です。ただし、歯髄炎が急性期にある場合、炎症により麻酔が効きにくくなるケースがあることは正直に伝えておく必要があります。
広尾麻布歯科では、表面麻酔と電動麻酔器を組み合わせることで、注射針を刺す際の刺激を和らげる工夫を行っています。治療後に数日間、鈍い違和感が続くことはありますが、これは根管内の処置に対する一時的な組織反応であり、時間の経過とともに落ち着くのが一般的です。不安を感じている方は、処置前に担当の歯科医師に具体的な流れを確認しておくと、過度な緊張を和らげることにつながります。
「どの歯科医院でも同じ治療?」精度の差について
根管治療の精度は、診断に使う機器と防湿管理の徹底度によって大きく左右される場合があります。歯の根の形態は人によって複雑に分岐しており、視診やレントゲンだけでは把握しきれないことがあります。歯科用CTを用いて根管の立体的な形態を事前に把握することで、見落としのリスクを低減できると考えられています。
防湿処置についても、ラバーダム(治療歯を唾液から隔離するシート状の器具)を使用するかどうかで、根管内への細菌の混入リスクが変わってきます。広尾麻布歯科では、根管治療にCTによる診断とラバーダムによる防湿処置を取り入れており、再感染のリスクを抑えた環境での治療を行っています。「どこでやっても同じ」ではなく、診査体制と処置環境の違いが治療後の経過に影響を与えることがあるという点は、医院選びの際に意識しておきたい視点です。
虫歯治療の精度を左右する診査・診断のポイント

視診・レントゲンだけでは見えない病変の存在
奥歯の虫歯を正確に評価するには、視診とレントゲンだけでは捉えきれない病変が存在するという前提から出発する必要があります。歯と歯の間や、詰め物・被せ物の下に潜む虫歯は、口腔内を目で観察しても確認が難しく、一般的な2次元レントゲンでも陰影として映らないケースがあります。
こうした見えにくい病変を確認するために、虫歯検出用の染色液を用いた診査が有効な場合があります。染色液は虫歯菌に感染した象牙質に反応するため、削る範囲の判断精度を高める手がかりになります。視診・レントゲン・染色液を組み合わせることで、病変の見落としを減らす診断体制が整えられます。
「しみる症状があるのに歯科医院でも異常なしと言われた」という経験を持つ患者さんは少なくありません。診査の方法や精度によって、同じ症状への評価が変わることがある点は、受診する歯科医院を選ぶ際に意識しておきたい視点です。
CTを用いた根管形態の把握と治療計画への影響
歯科用CTによる立体的な画像診断は、根管治療(歯内療法:歯の根の内部を治療する処置)の精度を大きく左右します。奥歯の根管は複雑に枝分かれしていることが多く、2次元のレントゲンでは確認できない根管の数や走行を、CTで把握することが治療計画に影響を与えます。
根管の見落としがあると、感染を取り除けない部分が残り、根尖病巣(こんせんびょうそう:根の先端周囲に生じる炎症性の病変)が再発するリスクがあります。治療前にCTで根管形態を確認することで、処置の範囲と手順を具体的に想定した計画が立てられます。
広尾麻布歯科では、CT(コンピュータ断層撮影)を用いた診断に対応しており、根管治療においても画像診断を治療計画に活用する体制を整えています。治療前の情報量が多いほど、処置中の判断の根拠も明確になります。
ラバーダムによる防湿処置が根管治療に必要な理由
根管治療の成否に大きく関わるのが、ラバーダムと呼ばれる防湿処置です。ラバーダムとは、ゴム製のシートで治療する歯を隔離し、口腔内の唾液や細菌が根管内に侵入しないようにするための器具です。この処置を行うかどうかが、根管内の清潔度、ひいては治療後の再感染リスクに直結します。
唾液には無数の細菌が含まれており、根管内に侵入すると感染が再拡大するおそれがあります。ラバーダムによって術野を隔離することで、根管内を無菌に近い状態で処置することが可能になります。また、治療中に使用する薬剤が口腔内に漏れることを防ぐ安全面の効果もあります。
広尾麻布歯科では、根管治療においてラバーダムによる防湿処置を実施しています。「同じ根管治療なのに医院によって結果が異なる」という背景の一つに、こうした処置の有無があります。使用される器具や手順の違いが、治療の再発率や歯の長期的な予後に影響することがあります。
広尾駅周辺で重度虫歯を相談する歯科医院の選び方

精密検査体制(CT・診査診断)の確認ポイント
重度虫歯の治療精度は、治療前の「状態把握の深さ」によって大きく左右されます。奥歯の根管は複雑に枝分かれしていることが多く、視診やレントゲンだけでは確認しきれない病変が潜んでいるケースがあります。歯科用CTを用いた三次元的な診査を行っているかどうかは、歯科医院を選ぶ上での重要な判断軸です。
初診時に、レントゲン撮影・口腔内写真・虫歯検査を組み合わせた総合的な診査診断を実施しているかを確認することで、その医院の治療計画の質が見えてきます。「しみる」という症状の背景に何があるのかを丁寧に調べた上で治療方針を立てる姿勢があるか、初診の流れからも読み取ることができるでしょう。
根管治療・歯内療法への対応実績を見る視点
歯髄炎(しずいえん:歯の神経の炎症)や根尖病巣(こんせんびょうそう:歯の根の先に生じる炎症)まで進行した虫歯には、根管治療(歯内療法)が必要になります。この治療は、細く複雑な管の中を無菌状態で処置するという精密さが求められるため、医院によって対応の幅に差が出やすい領域です。
確認したい点の一つが、ラバーダム(治療中に唾液が根管内に入らないよう口腔内を隔離するシート)を使用しているかどうかです。感染対策の観点から、この処置を行っているかは治療精度に直結します。加えて、抜髄治療(神経を取り除く処置)と感染根管治療(すでに感染が進んだ根管への処置)のどちらにも対応しているかを把握しておくと、状態が進行していた場合でも対応の見通しが立てやすくなります。
痛みへの配慮と個室環境が通院継続に与える影響
根管治療は複数回の通院が必要になることが多く、「治療が怖いから途中でやめてしまった」という中断が再感染につながるリスクがあります。通院を継続できるかどうかは、痛みへの配慮や診療環境が大きく関わっています。表面麻酔と電動麻酔器を組み合わせた処置、あるいは笑気吸入鎮静といった緊張を和らげる手段が用意されているかは、特に治療への不安が強い方にとって重要な確認事項です。
診療室が個室かどうかも、継続受診の観点から見落とせません。他の患者さんの気配が気になりにくい環境であれば、治療中の不安や緊張が和らぎやすく、処置への集中度も高まります。広尾麻布歯科では全室完全個室の診療室を設けており、笑気麻酔や電動注射器を用いた痛みに配慮した対応を行っています。重度虫歯の治療を最後まで完了するためには、通いやすさと安心感の両方が支えになります。
放置をやめて、まず状態を確かめませんか

この記事で整理できた「しみる→抜歯」の進行ポイント
奥歯がしみる状態を放置すると、歯髄炎(しずいえん:歯の神経の炎症)、根管治療、そして抜歯へと段階的に進行していく可能性があることを、この記事では整理してきました。しみる段階はまだ神経が生きているサインであり、言い換えれば「歯を守る選択肢が残っている段階」でもあります。
C2の虫歯であれば神経を残したまま治療できる可能性がありますが、歯髄炎に至ると抜髄(ばつずい:神経を除去する処置)が必要になり、さらに根尖病巣(こんせんびょうそう:歯の根の先に生じる炎症)まで進行すると、根管治療を経ても保存が困難になるケースがあります。「自発的な痛みがない=まだ大丈夫」という解釈が、治療の難度を引き上げる大きな要因になるという点は、特に念頭に置いておいてください。
重度虫歯にも向き合う広尾麻布歯科の診療姿勢
広尾麻布歯科では、虫歯治療においてレントゲンや歯科用CTによる精密な診査・診断を行ったうえで治療計画を立てています。根管治療ではラバーダムによる防湿処置を行い、感染源をできる限り遮断した環境での処置に取り組んでいます。重度虫歯に至った症例でも、現状の歯の状態を丁寧に評価したうえで対応しています。
「他院で抜歯が必要と言われた」「根管治療を勧められたが不安で迷っている」という状況で受診される患者さんもいます。広尾麻布歯科では、患者さんそれぞれの口腔内の状態を丁寧に確認し、治療の選択肢と見通しをお伝えすることを大切にしています。一人で抱えた不安を解消する場として、診察をご活用ください。
気になる症状があるときの最初の一歩
「しみるけれど強い痛みではないから、もう少し様子を見ようか」という迷いは、多くの方が経験することです。ただ、虫歯の進行は自覚症状の有無に関わらず進む性質があります。症状が落ち着いたように感じられるときでも、それが神経の回復を意味しないケースがあることは、この記事でお伝えしてきた通りです。
広尾麻布歯科は広尾駅2番出口から徒歩2分の場所にあり、土曜・祝日も診療しています。まず口の中の状態を確かめることが、歯を守るための出発点になります。「どの程度進んでいるのか知りたい」という段階からでも、お気軽にご相談ください。
監修:広尾麻布歯科
所在地〒:東京都渋谷区広尾5-13-6 1階
電話番号☎:03-5422-6868
*監修者
広尾麻布歯科
ドクター 安達 英一
*出身大学
日本大学歯学部
*経歴
・日本大学歯学部付属歯科病院 勤務
・東京都式根島歯科診療所 勤務
・長崎県澤本歯科医院 勤務
・医療法人社団東杏会丸ビル歯科 勤務
・愛育クリニック麻布歯科ユニット 開設
・愛育幼稚園 校医
・愛育養護学校 校医
・青山一丁目麻布歯科 開設
・区立西麻布保育園 園医
*所属
・日本歯科医師会
・東京都歯科医師会
・東京都港区麻布赤坂歯科医師会
・日本歯周病学会
・日本小児歯科学会
・日本歯科審美学会
・日本口腔インプラント学会
