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2025.08.28

歯ぐきの黒い隙間(ブラックトライアングル)、諦める前に知ってほしい5つの改善策

目次

「これって私だけ?」歯ぐきの黒い隙間、一人で抱える深い悩み



・人目が気になり、自然に笑えない…失われていく自信

歯と歯ぐきの間にできた黒い隙間に気づいた時から、人前で話すことや、思いきり笑うことに、ためらいを感じるようになってしまった。そんなお悩みをお持ちではないでしょうか。この「歯ぐきのブラックトライアングル」は、お顔の印象を大きく左右し、時に「老けて見える」「不健康に見える」といったコンプレックスの原因となり得ます。周りは気づいていないかもしれない、でも自分自身にとっては非常に大きな問題。そのお気持ちは、決して特別なものではありません。多くの方が同じように悩み、自信を失いかけています。

・見た目だけじゃない。食べ物が詰まる、発音がしづらいといった日常の不便

ブラックトライアングルの問題は、見た目の悩みだけではありません。食事のたびに繊維質の野菜などが挟まり、不快な思いをする。歯間ブラシが手放せず、外出先での食事が楽しめない。こうした機能的な問題も深刻です。さらに、隙間から空気が漏れることで、特にサ行やタ行などの発音がしにくくなる、といった影響を感じる方もいらっしゃいます。審美的な問題と機能的な問題が重なり合うことで、日々の生活の質(QOL)を大きく低下させてしまう。それが、この問題の本当のつらさなのかもしれません。

・「もう治らない」という諦めの気持ち、専門家として伝えたいこと

「一度下がった歯ぐきは元に戻らない」という情報を目にし、「この隙間と一生付き合っていくしかない」と諦めてしまってはいませんか。確かに、失われた歯ぐきや骨を完全に元通りに再生することは、現在の歯科医療でも簡単なことではありません。しかし、諦める必要は全くありません。大切なのは、なぜブラックトライアングルができたのか、その「原因」を正しく突き止め、それ以上悪化させないための対策を講じること。そして、原因に応じた適切なアプローチがあることを知ることです。まずは正しい知識を得ることから始めてみましょう。




まずは知ることから。ブラックトライアングルが生まれる仕組み



・歯・歯ぐき・骨のトライアングル。鍵を握る「歯間乳頭」とは?

歯ぐきのブラックトライアングルを理解する上で、最も重要なキーワードが「歯間乳頭(しかんにゅうとう)」です。これは、歯と歯の間を埋める三角形の歯ぐき部分を指します。この歯間乳頭は、単独で存在しているわけではありません。隣り合う歯の側面と、その下にある歯を支える骨(歯槽骨)の、三者に囲まれたスペースを埋めるように存在しています。つまり、歯間乳頭の健康や形は、この「歯・歯ぐき・骨」のバランスの上に成り立っているのです。このうちのどれか一つでも失われたり、位置が変わったりすると、バランスが崩れ、歯間乳頭は痩せてしまいます。

・歯ぐきが痩せる、骨が下がる。隙間ができる2大メカニズム

歯と歯の間を埋める三角形の歯ぐき部分(歯間乳頭)が痩せてブラックトライアングルが生じる背景には、大きく分けて二つのメカニズムがあります。一つは、歯ぐきそのものが下がる「歯肉退縮」です。これは、強すぎる歯磨きで歯ぐきを傷つけたり、歯周病の初期段階である歯肉炎によって歯ぐきが炎症を起こしたりすることで生じます。もう一つは、より深刻な、歯を支える骨が溶けて減ってしまうことです。歯周病が進行すると、歯と歯の間を埋める三角形の歯ぐき部分(歯間乳頭)の土台である歯槽骨が破壊されます。土台を失った歯ぐきは、その姿を保つことができず、骨の位置まで下がってしまうのです。多くの場合、これら二つのメカニズムが複合的に絡み合って、歯ぐきのブラックトライアングルは形成されます。

・なぜ「三角形」の隙間になるのか?歯の形との関係

隙間が「三角形」になるのは、歯の本来の形に由来します。私たちの歯は、根元から先端に向かって扇のように広がっており、隣の歯とは一番幅の広い部分で接触しています(コンタクトポイント)。そのため、歯と歯の間には、この接触点を頂点とし、歯ぐきを底辺とする、もともと三角形のスペースが存在しています。歯の形が四角に近い人は、接触面積が広く、歯ぐきまでの距離が短いため、歯と歯の間を埋める三角形の歯ぐき部分(歯間乳頭)がスペースを埋めやすく、隙間はできにくいです。一方、歯の形が三角形に近い人は、接触点が先端に近く、歯ぐきまでの距離が長いため、歯と歯の間を埋める三角形の歯ぐき部分(歯間乳頭)が痩せるとすぐに「歯ぐきのブラックトライアングル」として目立ちやすくなるのです。




あなたの隙間の原因は?考えられる5つの主な要因



・【最大の原因】歯周病による、歯ぐきと骨の破壊

歯ぐきのブラックトライアングルが出現する、後天的な原因として最も多いのが歯周病です。歯周病は、プラーク(歯垢)の中の細菌が歯ぐきに炎症を起こし、進行すると歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)を溶かしてしまう病気です。歯と歯の間の歯ぐき(歯間乳頭)は、この歯槽骨の上に存在しているため、土台である骨が失われると、その上の歯ぐきは支えをなくして痩せてしまいます。その結果、本来歯ぐきで満たされていたスペースが露出し、黒い三角形の隙間となって現れるのです。これは、歯周病がかなり進行しているサインの一つであり、早急な対応が必要です。

・【生理的変化】加齢に伴う、ゆるやかな歯ぐきの後退

病気ではなくとも、年齢を重ねるにつれて、お肌のハリが失われるように歯ぐきも少しずつ下がってくることがあります。これは「生理的歯肉退縮」と呼ばれる自然な変化の一環です。長年の歯の使用や、ホルモンバランスの変化など、様々な要因が複合的に関与し、歯ぐきの線維が弾力性を失い、ゆっくりと後退していきます。この変化は非常にゆるやかですが、何十年という期間をかけて少しずつ進行することで、元々歯と歯の間を埋める三角形の歯ぐき部分(歯間乳頭)が薄かった部分などが下がり、ブラックトライアングルとして目に見えるようになることがあります。

・【矯正治療後】歯並びが整ったからこそ「見える化」する隙間

歯列矯正できれいな歯並びを手に入れた後に、ブラックトライアングルが気になり始めることがあります。これは、治療の失敗ではありません。むしろ、歯並びが改善され、歯ぐきの炎症が治まった健康な状態になった証拠とも言えます。もともと歯が重なっていた部分では、歯ぐきが無理に押し上げられたり、隠されたりしていました。歯が正しい位置に並ぶことで、その下にある骨の形や、個々の歯の本来の形が露わになり、結果として隙間が「見える化」するのです。特に、元々の歯の形が三角形に近い方に起こりやすい現象です。

・【毎日の習慣】強すぎる歯磨きが歯ぐきを傷つけている可能性

良かれと思って行っている毎日の歯磨きが、逆に歯ぐきを傷つけ、ブラックトライアングルを引き起こす原因になっていることがあります。特に、硬い歯ブラシで力を込めてゴシゴシと磨く習慣は、歯ぐきを物理的にすり減らしてしまいます(擦過傷)。これを繰り返すことで、歯ぐきは少しずつ後退していきます。また、磨けているつもりでも、歯と歯ぐきの境目にプラークが残り、慢性的な炎症が続くことでも歯ぐきは痩せていきます。歯ぐきは非常にデリケートな組織です。適切な硬さの歯ブラシを使い、正しい方法で優しく磨くことが、歯ぐきの健康を守る上で非常に重要です。

・【人工物の問題】不適合な被せ物が、歯ぐきの炎症を招いているケース

過去に治療した被せ物(クラウン)や詰め物(インレー)が、現在の歯ぐきの状態に合っていない場合、それがブラックトライアングルの原因となることがあります。被せ物と歯の間に段差があったり、形が不自然で清掃しにくかったりすると、その境目にプラークが常に溜まった状態になります。特定の場所にだけプラークが停滞すると、その部分の歯ぐきは慢性的な炎症を起こし、赤く腫れたり、出血したりします。この局所的な炎症が長期間続くことで、歯ぐきは痩せてしまい、結果として黒い隙間ができてしまうのです。




【放置は危険】ブラックトライアングルがもたらす5つのリスク



・リスク1:隙間が細菌の温床に。歯周病がさらに悪化する

歯ぐきのブラックトライアングルは、歯ブラシの毛先が届きにくいため、プラーク(歯垢)が非常に溜まりやすい場所です。ここはまさに「細菌の温床」となり、歯周病菌の格好の住処となってしまいます。もしブラックトライアングルの原因が歯周病であった場合、この磨き残しがさらなる炎症を引き起こし、歯槽骨の吸収を加速させるという悪循環に陥ります。つまり、放置することで隙間はますます広がり、歯周病もさらに悪化の一途をたどる危険性があるのです。見た目の問題だけでなく、お口全体の健康を脅かすリスクをはらんでいます。

・リスク2:歯の根が露出し、知覚過敏や「根面う蝕」を招く

ブラックトライアングルができているということは、歯ぐきが下がり、本来は骨の中に守られているべき歯の根(歯根)が露出している状態を意味します。歯の根の表面は、頭の部分(歯冠)を覆う硬いエナメル質とは異なり、柔らかく酸に弱い「象牙質」でできています。この象牙質が露出すると、冷たいものや熱いものがしみやすくなる「知覚過敏」を引き起こすことがあります。さらに深刻なのは、この弱い歯根部分にプラークが付着することで発生する「根面う蝕」です。これは進行が速く、治療も複雑になりやすい、大人特有のむし歯です。

・リスク3:審美性の低下。隙間が広がり、さらに老けた印象に

ブラックトライアングルを放置し、その原因である歯周病や不適切なブラッシング習慣が改善されないままだと、歯ぐきの退縮はさらに進行していきます。最初は小さかった隙間が、時間とともに徐々に広がり、より目立つようになってしまうのです。歯と歯の間の黒い影が大きくなると、歯が長く見え、口元全体が暗い印象になります。これは、一般的に「老けた印象」や「不健康な印象」に繋がり、患者様の笑顔への自信をさらに奪ってしまうことになりかねません。審美的な観点からも、早期の対応が望まれます。

・リスク4:空気が漏れ、サ行・タ行などの発音が不明瞭になる

特に前歯に大きなブラックトライアングルができると、会話の際の発音に影響が出ることがあります。歯と歯の間の隙間から空気が漏れてしまうためです。日本語では、特に「サ行」や「タ行」といった、舌を前歯の裏側に近づけて発音する音(歯擦音や破擦音)が不明瞭になり、いわゆる「息漏れ」したような発音になることがあります。ご自身では気づきにくい僅かな変化かもしれませんが、相手にとっては聞き取りにくさを感じさせたり、コミュニケーションに微妙な影響を与えたりする可能性も否定できません。

・リスク5:口臭の原因に。食べカスや歯垢の腐敗

ブラックトライアングルに溜まった食べカスやプラークは、口臭の直接的な原因となります。隙間に残ったタンパク質などを細菌が分解する過程で、「揮発性硫黄化合物(VSC)」という細菌が作る強い臭いを放つガスが発生します。これが、腐った卵や玉ねぎのような不快な口臭の正体です。ブラックトライアングルは自浄作用が働きにくく、清掃も難しいため、常に細菌とエサが供給される状態になりがちです。その結果、持続的な口臭に繋がり、ご自身だけでなく、周りの人にも不快感を与えてしまうリスクがあります。




歯科医院では何をする?不安を解消する「初診相談」の流れ



・まずは、あなたのお悩みと希望をじっくりお伺いします

歯科医院での第一歩は、お口の中を拝見することよりも、まず患者様のお話をじっくりと伺うことから始まります。いつから歯ぐきのブラックトライアングルが気になり始めたのか、どのような時に特に気になるのか、見た目以外でお困りのことはないか、そして最終的にどのような状態になることを望んでいらっしゃるのか。私たちは、治療を始める前に、まずあなたのそのお悩みとご希望を共有させていただきたいと考えています。このカウンセリングの時間が、あなたと私たちがお互いを理解し、信頼関係を築く上で最も大切な時間です。どんな些細なことでも、安心してご相談ください。

・精密な診査・診断で、隙間の「本当の原因」を突き止めます

カウンセリングでお話を伺った後、お口の中の詳しい診査に移ります。歯ぐきのブラックトライアングルの「本当の原因」を突き止めるため、専門的な視点から多角的にチェックしていきます。具体的には、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)の深さを測定し、歯周病の進行度を確認します。また、歯ぐきの炎症や出血の有無、歯の動揺、プラークや歯石の付着状態なども詳細に調べます。これらの診査によって、あなたの隙間が歯周病によるものなのか、あるいは他の要因が関わっているのかを科学的根拠に基づいて判断します。この正確な診断こそが、適切な治療への出発点となります。

・レントゲンや口腔内写真で、現状を客観的に「見える化」

お口の中を直接見る診査に加え、レントゲン撮影や口腔内写真の撮影も、正確な診断のために欠かせません。レントゲン撮影では、歯ぐきの下に隠れて直接は見ることのできない、歯を支える骨(歯槽骨)の状態を詳細に確認できます。骨がどの程度失われているかを把握することは、ブラックトライアングル治療の方針を決める上で極めて重要です。また、お口の中の写真を撮影し、モニター上で一緒にご確認いただくことで、ご自身の現状を客観的にご理解いただけます。この「見える化」のプロセスを通じて、なぜ隙間ができているのか、これから何を目指すのかを共有し、納得して治療に進んでいただくことができます。




すべての改善の土台。歯ぐきの健康を取り戻す「歯周基本治療」



・なぜ、どんな場合でも歯周病のコントロールが最優先なのか

歯ぐきのブラックトライアングルを改善したいと考える際、どんな治療法を選ぶにしても、その大前提となるのが「歯ぐきの健康」です。もし、隙間の原因が歯周病である場合、その病気をコントロールしないまま見た目だけを改善しようとするのは、例えるなら火事が起きている家の壁紙を張り替えるようなものです。根本的な炎症が解決されていないため、歯ぐきの退縮や骨の吸収は水面下で進行し続け、いずれ治療した部分もダメになってしまいます。まず歯周病の進行を完全に止め、歯ぐきが安定した健康な状態を取り戻すこと。これこそが、あらゆる改善策を成功に導くための、改善に向けた大切な第一歩なのです。

・専門家による機械的清掃(スケーリング)の役割

歯周基本治療の中心となるのが、歯科医師や歯科衛生士といった専門家による「機械的清掃」です。代表的なものが「スケーリング」で、これは歯ブラシでは除去できないほど硬くこびりついた歯石やプラークを、専用の器具を使って徹底的に除去する処置です。特に、歯周ポケットの奥深く、歯の根の表面に付着した歯石を取り除くことが重要です。さらに、歯石を取ったあとの歯の根をなめらかに磨いて、汚れがつきにくくする処置で、歯石除去後の歯の根の表面を滑沢に磨き上げ、プラークが再付着しにくい環境を整えます。この一連の処置により、歯周病の原因である細菌を物理的に取り除き、歯ぐきが治癒するための環境を整えるのです。

・炎症のない、引き締まった歯ぐきを目指すことの重要性

歯周基本治療のゴールは、赤く腫れてブヨブヨしていた歯ぐきを、炎症のない、引き締まった健康な状態に戻すことです。健康な歯ぐきは、薄いピンク色で、歯にぴったりと密着し、歯磨きをしても簡単には出血しません。この状態を達成することには大きな意味があります。まず、歯周病の進行が止まり、歯ぐきのブラックトライアングルがそれ以上悪化するのを防ぎます。そして、歯ぐきの位置が安定することで、その後の審美的な改善策を計画する上での、正確なスタートラインが決まります。場合によっては、腫れが引いて歯ぐきが引き締まるだけで、隙間が少し目立たなくなることもあります。




あなた自身ができる最良の治療。「セルフケア」の質を高める



・歯ブラシの当て方一つで、歯ぐきの未来は変わる

歯ぐきのブラックトライアングルをこれ以上悪化させないためには、毎日のブラッシング方法を見直すことが不可欠です。大切なのは、力を入れてゴシゴシ磨くことではありません。歯ぐきは非常にデリケートな組織であり、強すぎる力は歯ぐきを傷つけ、退縮させる直接の原因となります。歯ブラシは柔らかめのものを選び、毛先を歯と歯ぐきの境目に45度の角度で優しく当て、小刻みに振動させるように磨きましょう。目的は、プラーク(歯垢)を的確に除去することです。この優しいブラッシングを習慣にすることが、歯ぐきへのダメージを最小限に抑え、健康を守るための最も基本的で重要なセルフケアです。

・歯間ブラシ、フロス…あなたに合った清掃用具の選び方

歯ぐきにブラックトライアングルができている場合、歯ブラシだけでは隙間の汚れを完全に取り除くことはできません。歯と歯の間の清掃には、歯間ブラシやデンタルフロスといった補助的な清掃用具の使用が必須となります。隙間が比較的小さい場合や、歯と歯が接している面を清掃するにはフロスが有効です。一方、ブラックトライアングルがある程度大きい場合は、隙間のサイズに合った「歯間ブラシ」がより効果的です。ただし、無理に太いサイズのものを挿入すると、逆に歯ぐきを傷つけてしまうため、適切なサイズ選びが非常に重要です。どのサイズが最適か、歯科医院でアドバイスを受けることをお勧めします。

・食生活や喫煙習慣が、歯ぐきに与える影響とは

歯ぐきの健康は、お口の中のケアだけでなく、全身の健康や生活習慣と密接に関わっています。例えば、歯ぐきのコラーゲン線維を作るために不可欠なビタミンCや、血行を促進するビタミンEなどをバランス良く摂取する食生活は、健康な歯ぐきを内側から支えます。一方で、喫煙は歯ぐきにとって最大の敵の一つです。タバコに含まれるニコチンは、歯ぐきの血管を収縮させて血流を悪化させ、歯周病に対する抵抗力を著しく低下させます。また、歯周病のサインである「出血」を隠してしまうため、発見が遅れる原因にもなります。禁煙は、歯ぐきのブラックトライアングル対策として、極めて効果の高い自己投資と言えるでしょう。




歯科医院でできること。原因に応じたアプローチの考え方



・歯の形や大きさを調整して、隙間を目立たなくさせる方法

歯ぐきのブラックトライアングルに対するアプローチの一つに、歯ぐきではなく「歯の形」そのものを修正し、隙間を物理的に埋めてしまう修復治療があります。これは、歯と歯の間に、歯の色に近い歯科用素材を精密に接着させることで、歯の幅をわずかに広げ、三角形の黒い影をカモフラージュする方法です。歯を削る量を最小限に抑える方法から、歯全体を覆って形を大きく整える方法まで、隙間の大きさや歯の状態に応じて様々な選択肢が考えられます。歯ぐきの再生が難しい場合でも、歯の形態を工夫することで、審美的な問題を大きく改善できる可能性があります。

・歯の傾きや位置を動かして、隙間を閉じる方法

歯の「形」ではなく、「位置」や「傾き」をコントロールすることで、歯ぐきのブラックトライアングルを改善するアプローチもあります。これが矯正治療による方法です。歯と歯が接触するポイントの位置は、隙間の大きさを決定する重要な要素です。矯正治療によって歯の根の角度を調整し、接触ポイントを歯ぐき側に下げることで、その上にある三角形の隙間を狭くすることができます。また、歯の形をわずかに修正しながら歯を寄せることで、接触面積を広げ、隙間を閉鎖することもあります。歯を動かすことで、隙間の根本的な構造にアプローチする、非常に理論的な解決策です。

・どのような選択肢があるのかは、専門家との相談が不可欠

ここまでご紹介したように、ブラックトライアングルへのアプローチは一つではありません。歯の形を修正するのか、位置を動かすのか、あるいはその両方を組み合わせるのか。最適な方法は、隙間の大きさや原因、歯ぐきや骨の状態、そして何より患者様ご自身が何を望んでいるのかによって大きく異なります。インターネットの情報だけで「自分にはこの治療法が合っているはず」と判断するのは非常に危険です。まずは専門家による正確な診査・診断を受け、ご自身の現状を正しく把握した上で、考えられる全ての選択肢についてメリット・デメリットの説明を受けることが、納得して選べる治療への第一歩です。




よくある疑問に答えます。ブラックトライアングルQ&A



・Q. 一度できたら、もう自然には治りませんか?

A. 残念ながら、歯周病などで一度失われてしまった歯を支える骨が、自然に元の高さまで再生することは、ほぼありません。歯ぐき(歯と歯の間を埋める三角形の歯ぐき部分)は、その下の骨に支えられているため、土台がなければ元の位置に戻ることは極めて困難です。ただし、例外もあります。歯ぐきが腫れて炎症を起こしているだけで、骨の吸収が軽度な場合です。このケースでは、歯周病の治療によって炎症が治まり、腫れていた歯ぐきが引き締まることで、結果的に隙間が少し目立たなくなることがあります。しかし、これは「治った」のではなく「引き締まった」状態であり、失われた組織が再生したわけではありません。

・Q. 歯磨きを頑張れば、歯ぐきは上がってきますか?

A. 毎日の丁寧な歯磨きは、歯ぐきの健康を保ち、ブラックトライアングルをこれ以上悪化させないために絶対的に不可欠です。しかし、歯磨きだけで、失われた歯ぐきが元の位置まで上がってくる(再生する)ことはありません。歯磨きの目的は、あくまで歯周病の原因であるプラークを除去し、炎症をコントロールすることにあります。むしろ、歯ぐきを上げようと力を入れてゴシゴシ磨いてしまうと、逆効果です。歯ぐきをさらに傷つけ、歯肉退縮を助長してしまう危険性があります。正しいセルフケアは「予防」と「現状維持」のための最良の手段とご理解ください。

・Q. 治療にはどのくらいの期間や費用がかかりますか?

A. 治療期間や費用は、歯ぐきのブラックトライアングルの原因や大きさ、そしてどのような治療法を選択するかによって大きく異なります。例えば、歯周病が原因の場合、まず数ヶ月かけて歯周基本治療を行い、歯ぐきの健康を安定させます。これは主に保険適用の治療となります。その後、見た目を改善するための修復治療や矯正治療に進む場合は、基本的に保険適用外の自費診療となり、費用や期間も様々です。まずは精密な診査・診断を行い、あなたに合った治療法の選択肢をいくつかご提示した上で、それぞれの詳しい期間や費用についてご説明いたします。

・Q. 治療後に再発させないために、何が大切ですか?

A. どのような治療法でブラックトライアングルを改善したとしても、その後のケアを怠れば再発のリスクは高まります。美しい状態を長期間維持するために最も大切なのは、①質の高いセルフケアの継続、そして②定期的なプロフェッショナル・メンテナンス、この二つです。ご自身での毎日の丁寧なブラッシングや歯間清掃はもちろんのこと、ご自身では取り切れない汚れを除去し、お口の状態を専門的にチェックするために、3〜6ヶ月に一度は歯科医院でのメンテナンスを受けるようにしてください。この二人三脚のケアこそが、再発を防ぐための最良の鍵となります。




まとめ:悩みを自信に変えるために、今できること



・ブラックトライアングルは、お口からの健康のサイン

歯ぐきにできた黒い隙間は、あなたのお口が発している、過去から現在に至るまでの「健康の履歴書」であり、重要なサインです。それは、歯周病の進行を知らせる警告かもしれませんし、長年のブラッシング習慣の結果かもしれません。あるいは、歯列矯正によって得られた健康な歯並びの証しである可能性もあります。大切なのは、このサインを見て見ぬふりをするのではなく、その意味を正しく理解しようとすることです。ブラックトライアングルは、ご自身のお口の健康状態と、改めて向き合うためのきっかけを与えてくれているのです。

・正しい知識を得て、いたずらに不安がらないことが第一歩

「これは何かの病気だろうか」「もう治らないのかもしれない」。原因がわからないままでは、こうした漠然とした不安ばかりが膨らんでしまいます。しかし、この記事を通して、ブラックトライアングルがなぜできるのか、その原因やリスクについて、正しい知識を得ていただけたのではないでしょうか。この知識こそが、いたずらに不安がることからあなたを解放し、次の一歩を踏み出すためのコンパスとなります。問題の正体を正しく知ることで、初めて冷静な対策を考えることができるのです。

・諦める前に、まずは専門家である私たちにご相談ください

様々な情報を目にし、あるいは「歯ぐきは元に戻らない」という言葉だけが心に残り、諦めかけていたかもしれません。しかし、あなたのその歯ぐきのブラックトライアングルには、あなたに合った解決策がきっと見つかります。そのためには、まず専門家である私たちに、あなたの悩みをお聞かせください。私たちは、あなたの不安に寄り添い、正確な診査・診断のもと、考えられる全ての選択肢を丁寧にご説明します。そして、あなたにとって最適な解決策を一緒に考え出すパートナーでありたいと願っています。悩みを自信に変える第一歩を、ここから踏み出しましょう。

監修:広尾麻布歯科
所在地〒:東京都渋谷区広尾5-13-6 1階
電話番号☎:03-5422-6868

*監修者
広尾麻布歯科
ドクター 安達 英一
*出身大学
日本大学歯学部
*経歴
日本大学歯学部付属歯科病院 勤務
東京都式根島歯科診療所 勤務
長崎県澤本歯科医院 勤務
医療法人社団東杏会丸ビル歯科 勤務

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